前半の海
□夢の中なら…
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…なんだこれは。
なぜ突然おれのベッドにこいつが寝ているんだ―――ロロノア・ゾロ。
我が名はジュラキュール・ミホーク。「世界一の剣豪」と称されて久しく、この海におれを知らぬ者などいない…まァ、そういうことになるだろう。
そんなおれだが実は、いま目の前に横たわっているこの美しい若い男のことが、以前からひどく愛しくてたまらない。
―――横たわっている…?いやしかし、さっきまでいなかったはずなのだ。おれがシャワーから戻ったらこいつがいきなり寝転がってるという…この極端な据え膳状態をなんとする??
……ああそうか、なんだわかったぞ…これは夢…おれの夢だ。
…そうとわかれば。
まァあれだ、することは一つしかない。夢の中なら堂々とこいつを起こしてみよう。ん?夢の中で起こすというのもなんだかおかしな状況だがな―――
「ロロノア…オイ、起きろオイ…」
ミホークはゾロの体をそっと揺する。こんな機会に寝込みを襲ってもつまらない。ちゃんと意識ある相手の表情をじっくり見ながらジワジワと攻めるのが好みなのだ。
「おい…起きろよ……」
(……………。)
しかしゾロがなかなか頑固に起きないので、しばらくしてミホークは揺する動作をやめた。
寝返りなどうってみせるその姿も可愛い。待ちきれずバスローブのままベッドに上がり込むと、眠る体を覆い隠すかのように突然ゾロに跨がり、既に荒くなった息をそのままに熱っぽい唇を重ねていく―――
「…ん……
……あ?
―――――!
…なっ…鷹の目っ…?」
最初はぼんやりとしていたゾロだが、すぐにハッと目を見開いた。
「ああ。……その、なんていうかな…おれの寝室へようこそ」
跨がったままの姿勢でミホークはそう言った。
「はっ?…ち、近ェよ…いや、てゆーかなんで…」
「さァな。
だけど別に、前置きは要らないだろう…」
ミホークは事もなげにゾロの両腕を押さえ付けながら、今度は首筋にキスをし始める。
「…オイ待てっ…!なんなんだこの状況っ。離せよ、…どけっ」
ゾロが暴れようにもほとんどわずかな身じろぎすら適わない。ミホークの唇は少しずつ滑るようにゾロの胸を下りてゆく。
「…あ…んっ…!」
ゾロはわけがわからないままだったがシャツの上から乳首にカリリとかじりつかれ、思わずビクッと背中を震わせた。
「ロロノア…?フフッ…なんだ?今の反応は。お前ここが弱いのか」
「…っ……う、るせ…」
「もっとしてやるぞ…ほら…」
シャツ越しになお、唾液混じりの舌で転がされては強く吸われる。
「あ…っ、…は……あ」
「…気持ちいいのかロロノア…固く膨らんで…すごくやらしいな」
「違…う、ちがう…けどっ…そんなしつこくされたら…っ、…はっ……」
「…なんでもいい」
ミホークはベッド脇のテーブルに置かれた小刀を手に取りつつ言った。
「ロロノア、お前のそこがどんな煽情的な色をしてるのか…今すぐおれに見せてみろ」
そして言い終わるかどうかのうちにゾロのシャツの裾を掴み小刀の刃先を当てたかと思うと――ピリピリと音を立てながら一気にそれを切り裂いた。
「なっ―――!!」
切られたシャツがはだけて上半身が露わにされたが、腰あたりにドッカリと乗られているのでやはり身動きが取れない。
「鷹っ…何……してんだよ」
「…ああ…思った通り淫らな色をして……とても可愛いぞロロノア…」
「…っ、…こえーよ…お前……」
「だろうな。恐怖に引き攣る顔ってやつを見るのも…おれは好きなんだ」
言いながら、ミホークの手がいきなり乱暴にゾロのズボンをずり下げる。
「オイ!やめっ…」