前半の海(-002)

□言葉にできない
〜『2Y』ゾロver.〜
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 空が揺らいだように感じた。

…たぶん気のせいだ。


……ああ、
雨でも降るか?





 …で、コック、お前は今どこにいるんだ。



 ……いや、おれもどこにいるんだろうな…

 ここは正確にはどのあたりなんだ?

 鷹の目とはまだろくに口をきいてねェし、あのうるさい女も何言ってんだかよくわからねえ。

 だが昨日から、
…ん?「昨日」、だよな?
そうだ、あれから丸一日以上は経っているはずだが追っ手みてェな奴は来ねえな…。




 …コック、お前もこんなふうにして一人でワケわかんねェ場所にいんのか?それとも…





(2Y…――――――)


「あ……」

…ああそうか、おれは

二年間、
お前に会えねェのか…




いや、
んなの、
全く実感わかねェけども……

それでも、
お前と一緒にいたのなんてずっと昔だったような気がするのはなんでなんだろうな…

そもそも出会ってから、まだそれほど長い時間が経ってるってワケでもねえのに。




 いや、だいたいてめェが無事でいるのかどうかすらサッパリわからねェ状況だが、

なんとなく

おれにはわかることがある。

 それは…今おれがお前の顔を思い出したっていうのは、その瞬間、お前のほうが心ン中でおれのことを考えたからだ…


 この勘のようなものには、えらく残念だが自信がある。いや、だからって理屈じゃあ何も説明できねェんだけどよ…




 でも


 だから
 大丈夫だ――――






「二年…か」


 コック…―――

 会えねェと思ったら途端に、このおれがよ…素直に懐かしいような気持ちになってくるんだから笑っちまうな。




 …なあ、お前はいつもどんな声で、おれのことを呼んだっけ?


 いや、そうだ、まだ…二日と離れちゃいねェんだがよ…


(なァ、サンジ………)





 サンジ。ああ…コロコロとよく表情の変わる、ときどき子供のようなあの男のことをおれは…


 ……………



 ―――――「愛した」。





…あ?

……ああ、きっと、確かにそうなんだ。


いや、
この気持ちを本当にピタリと表現する言葉を、

おれはいまだに

思いつくことができねェままでいるが…




だけど不思議だな。

見上げる空は違っても、変わらずにお前は…


なんていうか、…ここにいるよ。









「…………ロロノア」


「――……鷹…」

「何をぼんやりしている」

「……」


「…初めに言っておくがお前、流れる月日に身を置くだけで当然に何かを得られるなどと思うなよ。全ては己次第だ。おれは正直、お前がお前の目指す姿に到達するのに二年が十分な期間とは思っていない」


「……っ…!、…わかってる!」


 不覚にもこぼれかけていた一滴の涙を小さく拭った。こいつにそんなものは、絶対見せらんねえ…!




「……。そうか。じゃあ、こっちへ来い」

「あ?ああ…」






なあクソコック―――

おれはおれの腹をくくったぞ



おいクソコック…

ちゃんとわかってんだろうなお前?


二年後だ、忘れんなよ?




そうだお前はいつだって……


いつだって


まったく、世話がやけるんだからな…。


END

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