前半の海(-002)
□熱闘?!バレンタイン
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バレンタインデー!!
待ちに待ったぜ2月のヤローめ!
これほどまでにこのおれ、料理部部長の腕の見せどころな行事が他にあるか?いやない。一口食べれば誰もが天国、超スペシャルでゴージャスな愛のチョコ…お任せあれお任せあれ。この天才ラブショコラティエ・サンジ、今日は全く負ける気しませんっ!
「きゃ〜っ☆サンジきゅ〜んそのチョコあたしにちょうだ〜いvv」
「いやんバカ〜ン♪あたしのよ〜vv」
(う……)
ここは男子高だがこういった不思議なジャンルの連中もいる。そしてなぜだかこんな奴らにおれはモ、モ……モ、ああクソ、その…モ、モテる!グハァ〜〜ッ(血ヘド吐いた)
しかし奴らの相手をしてる暇はないのだ。おれの本命はそう、昨年4月に入学してきた、青い蕾のようなロロノア・ゾロ君。超キュートな尻の持ち主……ああいやいや、そんなエロい目で見てはバチが当たりそうな、まだ幼さを残すスベスベお肌の男の子だ。ちなみに剣道部!
なんとか会話してみたくても、この約一年間ついぞできてない…。
いや、正確には、わりとしょっちゅう話しかけてきたのだがあんまり反応してもらえなかったのだ。ゾロはいつだって部活動に夢中で――授業中は寝てるらしいし――おれが何か言っても常に「あードモ」程度で去ってしまうのだ。
そんな日々の中、こっそりゾロの教室や部室に侵入して奴の脱いだ物を嗅いだりもしたものだが…
「え〜っサンジきゅんサイテー!」
「サンジきゅんたらマジきしょ〜い」
「…ってウルッセェぞお前ら!さっきから人の心ン中の声聞いてんな!どこまで人間離れすりゃ気が済むんだよっ」
…ハッ。いかんいかんこんなところをゾロに見られて仲間だと思われたらどーする。
人外生物にペースを乱されてる場合じゃねェんだ。おれには決意したことがある。バレンタインデーの今日こそ告る!
ゾロは毎日一人で居残り練習するからな。体育館横の部室出入口辺りで待伏せすりゃあ確実に一人きりのところに遭遇できるってなスンポーさ。
いざ。ギャーギャーとついて来てたおぞましい連中をマいてから、体育館を遠巻きに見つつ時が過ぎるのを待った。
既に90分経過。退屈なので、昼間自分がもらったチョコをもしゃもしゃと食ってみたりもする。
(うん…悪くない。だがおれの作るヤツのほうがずっと美味いな〜ァ…)
―――ハッ来たゾロだ!ジャージ姿可愛い!行くぞおれ!静まれ心臓!
なんだかドキドキしてきておれは、なんとはなしに制服のネクタイを緩めた。
「よっ…よォ」
「あ…」
「お、おれのこと知ってるか」
「…たまに話しかけてくる金髪のグルまゆ」
(ぐっ――…)
2年のおれにその言い草か。フッ…そんなガキくせェとこも可愛いじゃねーか!
「おれは…サンジだ」
「……知ってる」
ズルッ――
…と、コントのように肩が落ちた。知ってんのかよ!…いやちょっと、かなり、嬉しいけど…
「そうか…一応認識はしてもらってたのか。…あのさ、…これお前に作った」
「え!わー美味そう。スゲーなお前」
「フフンそうだろ…
ってラッピングしてあったよなァそれ!もう開けてもう食ってんの?!」
「ああ…うまい。ありがとう」
「う…//// さ、酒入ってるの大丈夫だったか?」
「ああ、酒は大好きだ」
「え。そーゆーキャラ?スベスベお肌のスポーツマンなのに?」
「??…えっと、ごちそうさん。じゃあな」
「いや待て待て待て待て」
「あ?」
「お前なー。なんだと思ったんだよこれ。目の前で食ってみせたってことはその…OKってことだろ?」
「は?」
「言わせてェのかよ…クソッ、…お前が好きだ、つき合ってくれ!」
「………。ああ!バランタ…なんだっけ?」
「…バレンタインだよ」
「あーワリ、それか…えーっと…ありがとう、でも困る。おれは剣道で全国一位になること以外何も考えらんねーから…」
(うっ…)
イメージどおりの回答!しかしサッパリとフラれてるっつーのに普通にそそるのは何故だっ…こんなストイックで何も知らなそうな奴をエロく乱れさせてみたい〜。
「あー…ロロノア・ゾロ、お前さァ」
「え」
「そんな立派な目標があるなら、集中するためにも恋人はいたほうがいいぜ」
「?」
「ここ…」
「ひゃっ?!」
おれは奴の股間に手を乗せた。
「ここさ、苦しくなる時もあるだろ?…自分で触るより、人に触られたほうがずっと気持ちいいってこと、お前知らねェだろ」
「は…?…な、何言ってんだ…っ、離っ…」
(あ――)
…少し、ムクッと大きくしてやんの。
「教えてやるよ。お前ンとこの部室、畳あったよな。そこで……な?」
「え?……えっ…」