2年後からの海
□雨宿り
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(WEB拍手に載せてた短文です)
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(――――…おっ?!)
ここは甲板…だよな。え〜っと、おれ、寝てたのか……?
って、うおっ!ゾロもおれの腕枕で寝ちゃってるし!!
…や、まだ明るいじゃねーかよ何時だ今…?やべェなこの姿誰かに見られたかな……
…いや、まァいっかもう…まさか挿入したまま寝落ちてるとこを見られたってワケでもあるめェし。
…ってオイ!そんなシーンがあってたまるか。自分ながら何言ってんだよおれ…
「…ん………」
アホなことを考えていたら、ゾロもモゾモゾしながら薄目を開けた。
「……あ?…コック…?」
「ああ…なんか、お前と一緒に寝ちまってたらしい」
「…?……ん〜…そうだっけ…」
ゾロはまだちょっぴり寝ぼけてるような顔をしたけど、ふいに照れくさくなったのか、急に少しだけ慌てて腕枕から自分の頭をはずした。
(おいおい今から慌てても手遅れなんじゃねェのか…?)
とその時、まるでゾロの仕草が合図だったみたいなタイミングでポツポツと小雨が降り出した。
「あ。………雨?」
「あー…」
すぐに立ち上がればいい状況だったが、なんとなく…なんとなくおれはゾロに覆いかぶさった。大して意味はない。ただそうしたくなった。
ゾロの肩の横あたりに肘をつき、そのまま真下にある顔をジッと見つめる。
「……コック?何やってんだ?」
「…カサ。傘の真似。」
「?!うわビミョー。あんまり役立ちそうにねーし…」
「フン…おれの傘はてめェを『守る』傘じゃねえんだよ。ただ…いつもそばでお前と同じ目にあってやるぜっていう…そういう傘だ!」
「………。
……へェ」
ゾロは小さく笑うと柔らかく目を閉じた。
おれは片方の手でその顔を撫でてから、ゆっくりと落とした唇を奴のそれに重ねる――
「ん……っ…」
―――でもなゾロ、
いつだって…
そうだいつどんなときだっておれは、
お前よりおれのほうが先に、雨に濡れてやるつもりなんだぜ―――
END