2年後からの海

□だってスカートめくりがしたくなったんだもの
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 バタン!と豪風を伴って開けられたキッチンのドア。

 途端にバシャバシャと吹き込むおびただしい量のドシャ降りの雨雨雨。

 ―――――で、一体何やってんだろうなァ、ドアを開けたこいつ、ゼェゼェと肩で息するこのびしょ濡れのミドリ君は。

「…ハァ、……コック!水くれ水」

「水…。あー…その姿から察するに……水を頭からかぶるのがブームとか?バケツで用意しようか」

「Σ違うわアホォ!!…トレーニングからっ…おりてこようとした時にはまだ降ってなかったんだ!」

 何やらガキのようなテンションで喋るゾロにグラス一杯の水を渡してやる。
 奴はそれをクッと一気に飲み干してからまた口を開いた。

「キリがついてだな、水を飲もうと思ってここへ来る途中によォ、いきなり、空からボコられる勢いでこの雨だ」

「…お前…、やっぱ日頃の行いものすっげー悪ィんじゃねーのか…ι」

「うるせェ!真顔で迷信めいたこと言ってんじゃねえよ!!」

「うーん…まァいいが、船は異状ねェのかな」

「あ?ああ、そういや…さっき向こうでナミが、すぐ止むだろうって叫んでたようだが…」

「ナミさんが。そっか…そんじゃ作業しに出てかなくても平気かァ………
 ―――――ってオイ!何してんだそれ!なんか今お前っ、下に穿いてるモンいきなり脱いだろ?!」

「は?…脱いだが…。…濡れてて気持ち悪ィから」

「いっ、いやいや、上着だって濡れてんのに中身だけ脱いで何か意味あんのか??」

「?…ああ、上着も脱ぎてェけどここで素っ裸になるのも変かと思って…おれの勝手だろ。雨が止むまでちょっと休ませろよ」

 などと言って平然とゾロはソファーに座るけれど―――

「いや気になりまくってスルーできねェ!!お前、腹巻どころか下着ごとゴッソリ脱いだよな?そのヒラヒラした緑色の下はスッポンポンか?!」

「スッポ…って……まァ、そうだよ。いちいちうるせーなお前」

「や、だっておかしいだろそれ!んな、下だけ脱いだってぜってェ、“濡れて気持ち悪い”が解消されるワケねえ。おれに何かしてほしいってゆー誘惑としか思えねえ!!!!」

「…あ゙〜?なんなんだよエロバカコック、気に入らねェんだったら気にすんなよ。おれァ小降りンなったらすぐ出てくしよ…」

「いや誰が気に入らねーっつったよ。むしろ気に入った!その下なんも穿いてねェんだと考えただけで萌える!」

「…“もえる”てお前な」

「おいゾロ、壁に背中つけて立て」

「は………?

 ………な、なんで?」


「スカートめくりしたい」


「…………。

 …何か、聞き間違えたか?おれ」

「い〜いからいいからちょっとこっち来いよ」

 おれはゾロを引っ張って、壁にドンッと押し付けた。

「…痛っ―――何すんだよてめェ…!」

「うん…、ちょっとだけ…なっ?ゾロちょっとだけだから…そのままおとなしくしてて…」

「………っ…」

 おれは興奮ぎみだったがどうにかこうにか甘い声でお願いすると、ゾロは諦めたような顔になった。なんだかんだ、いつだっておれの欲求というものに素直に寄り添ってくれやがるんだ。これだもんコイツ可愛いくて仕方ねェ…


「……っ………コック…」

 おれがゾロの服の裾をゆっくり持ち上げ始めると、ゾロは恥ずかしそうに目を閉じた。

「ハハッ、出現〜♪なんだよゾロ、もう勃ちかけてんじゃん」

「…んっ……!、やめ…」

「え?今さら何を……やめろだって…?」
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