2年後からの海
□朝焼けLOVERS
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2013.3月上旬‘拍手文’
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(―――…いけね、もうこんな時間か…)
頭の中にある予定より少しだけ寝過ごした。
朝メシの支度のためにゴソゴソと男部屋を出れば、綺麗な紫の晴天がおれを出迎える。ああ、今日はまずその見事な朝焼けに驚かされた。眩し過ぎてつい眼前に手をかざしたけれど、広がる光景の美しさには思わず息を呑んでいた。
(ああ……――――)
時々おとずれる、こんなふうに大空に心奪われる瞬間、おれは必ずと言っていいくらいあの日のゾロを思い出す。
あの日の…――そう、おれに初めてその体を任せてくれた、…想いを打ち明けた、あの夢みたいだった夜。それまでおれの胸の中できっと高くて広い空のような存在だったはずのゾロが、気まぐれにこの地へ舞い降りてくれたかのような、とんでもなく特別だった夜…
「…コック……」
「――!!…っ、なんだ!ビックリさせんなよっ」
「は?…あーワリ…気づいてねェと思わなかった…」
「あー…や、おれが物音で起こしたか?……今さ、お前のこと…考えてたよ、なんとなく」
「……………ふーん…」
「………」
「…早いんだな、コックお前」
「えっ。…いやまあ、通常営業でこのくらいだろ。朝メシ作るから…」
「……あー。…あーうん、おれ知ってたな、それ……//////」
「………////」
ゾロ。おいおい。
…何恥ずかしそうにしてんだよバァーカ////
こういう静かな時に二人きりになると、いまだにうまく喋れなかったりするんだコイツ。そんでもって今さら言うまでもねェようなちょっとしたこと、動揺して口走っちゃったりするんだ。そのくらい、…そのくらい、おれのことが大好きなゾロ―――!
「まったく……たまんねえよなァ、…ホントに、ゾロお前って…」
「…?何…」
「べつに。
えーっと、…なあゾロ!今度渋谷でデートしよっか」
「………。…??????急になんだよ……どこだそれ。(おれ達『ONEPIECE』だろ、無茶言うなよ……ι)」
「知らねえの?麦わらストアがあるとこだよ。3月1日からサンジ君(…と、ついでにロボ)のバースデーイベントやってるぜ。サンジ君グッズを買ってポストカードをもらおう!的な」
「……………。………面倒だから行かねえ…」
「ケッ、あーそうですかいっ。どお〜せそう言うだろうと思ってたよっ」
「…だって要らねェだろそんなモン。本物がいつも隣りにいるんだからよ」
「えっ!!
……あ?何言って…////
…いっ、いつも…って」
いいいっ、いつも隣りにィーーー?!!////
またっ、またなんかコイツはさりげなく恋人宣言みたいなっ、なななななっ…。
「コック?…なんか違ってるか?」
「やっ、違わない、…違わないです、ハイ」
(うう、なんか力抜けるぞ……ってか朝メシ!作らなきゃ…)
「……えっとゾロ、朝メシの準備手伝う?」
「あ?…ああ、起きちまったからな。べつに構わねェぞ」
「そ。ありがとな。…んじゃ、行きましょうかキッチン」
「えっ////」
ってオイ!!照れるところじゃねえっつんだよ馬鹿っ。“そういうの”はまた後でだ。…いやおれだって、今すっげえ静かだし二人っきりだしとか、そりゃあ思わないでも、ないけど……なあ。
「おいゾロ」
「ん?」
「そのっ……“いつも隣りに”、いるよおれは…これから先もずっと」
「?…当たり前だろ」
「…ああ…………おう」
―――ゆるぎないゾロ
ああ、お前はやっぱり超眩しいワ……
「…ゾロ」
「なんだ?」
「チューだけなら今すぐしてやる」
「Σ何も言ってねえよ!!して“やる”ってなんで勝手に偉そうに喋ってんだフザけんなっっ」
おしまい。