黒羽の妖精
□鉄の森
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みんなびくびくしている。その目に映っているのは、妖精の尻尾最強の女であり、妖精女王である。
「今戻った。総長はおられるか?」
「お帰り!総長は定例会よ」
ミラは、いつもの調子である。
エルザの後ろには、エルザ本人が討伐した魔物の角に地元の者が飾りをほどこしたものがある。
こう聞いてしまうと、可愛らしい物かと思ってしまうが、そんな物ではない。何というか・・・取り敢えず大きい事だけは知っていて欲しい。そして、それは普通の人間では持ち上げる事は、不可能である。
「ん? アルムか。久しいな。」
『お帰り。エルザ。』
「ところで、ナツとグレイはいるか?」
「あい」
エルザが、ナツ達を見ると・・・
「や・・やあ、エルザ・・。オ・・オレたち今日も、仲よし・・よく・・や・・・・やってるぜぃ」
「あ゛い」
『ほんと、面白いね』
「う・・うるせェ」
グレイ&ナツは、尋常でない汗をかいている。ミラとアルムは、そんな二人を見て楽しんでいる様だ。
ルーシィは、初めて見る為相当驚いている。
「実は三人に頼みたい事がある。」
『え?』
「仕事先で少々やっかいな話しを耳にしてしまった。
本来なら総長の判断をあおぐトコなんだが、早期解決がのぞましいと私は判断した。
3人の力を貸してほしい。ついてきてくれるな」
「え!?」
「はい!?」
『エルザ!?』
3人ともかなり驚いている。当たり前の反応なのかもしれない。
ギルド最強の女が力を貸してほしいと願い出たのだ。
まわりも驚いている。
「出発は明日だ。準備しておけ。詳しくは移動中に話す」
『え?ちょっと・・・エルザ!!』
エルザは行ってしまった。
『そんな・・・』
「エルザと・・・ナツと・・・グレイと・・・アルム・・・
今まで想像もした事もなかったけど・・・・・・・・・・
これって妖精の尻尾最強チームかも・・・・」
「!!」
ミラは小さく呟いた。ルーシィだけがそれを聞き逃さず聞いていた。
「む・・・無理だ」
グレイが肩を落として言う。
「こいつと一緒ってだけでうぜェのにエルザが一緒だなんて―――!!!」
「こんなチームありえねえっ!!!!つーか行きたくねえ――――――――っ!!!!」
『まあまあ、落ち着いて』
「「落ち着けるか!!」」
ナツがルーシィを睨む。
何をし出すかと思えば・・・
「きゃあっ!!な・・・・・・・・なにすんのよオォオ!!!」
「お前今からナツだ」
「無理だから」
「あい」
「・・・な!何笑ってるんですか?!アルムさん!!」
『多分いけるよ』
「無理ですって!!てか、嬉しくないですから!!」
『あ。そうそう、その敬語やめたら?だって、年同じくらいでしょ?』
「まあ…」
『あと、お願いがあるんだけど・・・』
ジッとルーシィを見る。
「何?」
『明日一緒に来て取り持ってくれない?』
「え?!」
ルーシィでもさすがに嫌なのだろう。
かなり顔を顰めている。
「アルムもこういっているんだし、行ってくれない?ルーシィ。
確かに、この4人が組めば素敵だけど仲がギクシャクしている所は私も不安なの、
ルーシィ私からもお願いするわ。」
「そんなぁ」
翌日
アルムは、公園にある大きな木の前にいた。
ジッと木を見つめ動こうとしない。
(…近い…)
彼女は、そう心の中で呟くと大木を後ろに歩き出した。
「遅いぞ。アルム」
エルザは、アルムの顔を見るなりそう言った。
『ごめん。待ち合わせしてたのに…』
「さて、2人が待っている。行くぞ」
『うん…』
アルムは、力なく返事をした。
そんなアルムをエルザは心配そうに見つめる。
しかし、声をかける事は出来なかった。