arditrary

□さくら
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さよなら、なんて言わないから

ずっと空を見つめてて



     さくら



桜並木のその道に、君は居た。


じっと、ただ桜の木を見つめて


残るのはいつかの面影。


「桜が桜でいられるのは、
ほんの一瞬だから
いつでも自分が自分でいられる俺らって、
幸せなんだよな」


そんな君の言葉を思い出し

私は空を見上げる。


二度と 忘れないように。



一度咲いた桜は、散るまで輝く

哀れだと思った私は

きっと可愛い女じゃなかったね。


だって、散ってしまったら
もう輝けないんでしょう?


たった一瞬の為だけに

一瞬しか咲けないと知っていて

それでも、咲いてくれた桜は

私と君の距離を縮めてくれた



可憐さを無くした桜は

私と君の間を切り裂いた。




遠くから君を見つめた私は

舞い散る桜の様に

切なげな気持ちを抱えて

桜並木の道を、行く。




     さくら



さよなら、って言ったのは

君だったんだ。

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