翠
□氷飴
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ずっとこの日を楽しみにしていた
夕焼けに染まる商店街、人ごみの中を私は小走りする
その足音に合わせて、カラカラと下駄の音がした
待ち合わせ場所はあと数100m先
もう皆待っているかな?
慣れない浴衣だけど、他の女子2人も浴衣で来るって言ってたし・・・
お母さんに髪の毛もキレイにアップしてもらったし・・・
今の私は、ただただ彼に会うのが楽しみで仕方なかった
待ち合わせ場所に着く
辺りを見回した がしかし、待ち合わせしている他の5人の姿が見当たらない
小首を傾げて、何度も辺りを見回していると
ブブ・・・ブブ・・・
携帯が振動した 電話だ
受信ボタンを押して、スピーカーを耳元へ持ってくる
「もしもし」
『探し者は後ろだよ』
間違えるはずもない声音
私は慌てて後ろを振り向く
そこには
「見つけた?」
私と同じように携帯を耳に当て、はにかんでいる君が居た