フリー小噺
□小噺 ―明けまして―弐
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一緒に過ごしたいのはあの人じゃない。
一緒に過ごしたいのは、あの鬼さんたち。
だから僕は走る。
今日、だけで良い。
日が登るまで一緒にいられたら。
竜尊
「――おまえっ!夜のこの山は危ないんだぞっ!どうしてここに来たっ!」
結
「だって千狸さんとりゅーそんに会いたかったから」
だから来たんだよ、と幼い結は怒った竜尊にそう返した。
むぅ、ともっともな理由で結にそう怒った竜尊は、しかしなんの威厳もなく千狸の膝にちょこん、と座っていて。
だから結は竜尊に怒られて萎縮するよりも、それにほほえましくなって、安心して笑った。
しかし、怒っているのに笑われている竜尊は良い気がしない。
びしっと結を指差して更に怒鳴る。
竜尊
「あのなっ!夜はいつ鬼が暴れるかわからないんだぞっ!?今日はたまたま運が良かったけど、だけどもしかしたら――って結っ、お前その頬っぺたどうしたっ!?」
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