フリー小噺
□小噺 ―明けまして―
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お正月からなんて沈んだ顔をしているんですか、この人は。
近づいてみた、きっと術士さんなその人は見てみると綺麗な黄金色の目をしていて。
「……明けまして、おめでとうございます」
ひょこっと正面から覗いて、声をかけてみたらその術士さんっぽい人はすごく驚いた顔をして私を見ました。
…そりゃあ急に声をかけられたらびっくりしますよね。
とかも思ったんですが、しかしこの人、真っ黒で目が黄金色で…まるで
「…黒猫さん、せっかくおめでたいお正月なので、これをお裾分けします。…あ、普通のお餅ですので大丈夫ですよ」
はい、まるで黒猫さんなその人に言うだけ言って、お餅を渡して、私は急いでその人から離れました。
だって苦情は受け付けてません。
お正月にひとりで、しかも何もないのも寂しいのでお餅のお裾分けもしました。
とりあえず、お正月関連の仲間外れはしていません。
うん、大丈夫です。
さて、本来の目的地へ向かいますかね。
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