フリー小噺
□小噺 ―明けまして―
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竜尊
「他の男の匂いがする」
「はい、明けましておめでとうございます」
竜尊
「…無視かよ」
開口一番、新年早々にそう言うことを言う竜尊が悪いのです。
そして犬が嫌いなはずなのに、どうして犬並みな嗅覚をお持ちなんですか。
嗚呼、きっと同族嫌悪なんでしょうね。
はあ、とガリガリ頭を掻きながら苦笑する竜尊を笑いながら、祢々斬がぐいっ、とお酒を呑みました。
そもそもそのお酒はどこから手に入れているんでしょうか?私のしばらくの謎です。
とりあえず、そんな二人を無視して、私は改めてみんなに頭を下げました。
目的はご挨拶、です。
「明けましておめでとうございます。…今年もどうぞよろしくお願いします」
ぺこり。
頭を下げて一通りお決まりの言葉を口にして、私は顔をあげました。
すると一番にお返事してくれたのは玖々廼馳。
座っていたのにわざわざぴょんっ、と立ち上がって正面から抱きついてきてくれました。
男性とは言え、玖々廼馳は可愛いから問題なしです。
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