フリー小噺

□小噺 ―明けまして―弐
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普段から少しだけ年上ぶる竜尊はくどくどと結に説教をしていたが、しかし結の頬に気づくなり慌てて千狸の膝から降りてその頬に触れた。

少しだけ赤くなって腫れている結の頬。

心配をはじめた竜尊に結は慌てて距離を置く。

大丈夫だよ、と一言告げて、隠すようにその頬を自身の手で包んで。

それから少しだけ下を向いて黙った後、にこっと笑って千狸と竜尊に話した。


「あのね、明日はお正月なんだよ」

竜尊
「……?…おしょー…がつ?なんだそれ」

聞きなれない言葉なのか、ぎこちなくその単語を呟きながら竜尊は首を傾げた。

しかしそれは結にとっては予想できたことで、何の躊躇いもなく説明をはじめる。


「年がね、新しい年になるんだ。一年が新しい一年になるの」

結なりに噛み砕いて説明したつもりなのだが、しかし竜尊はいまいちわかっていない様子で、ふぅん、と若干困惑した顔で頷いた。

もう少しちゃんと説明を考えてくれば良かったな、と結は苦笑する。



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