フリー小噺

□小噺 ―明けまして―弐
3ページ/6ページ

竜尊
「…で?それはいつなんだ?」


「今晩…て言うかお日さまが出てきたらかなぁ。…つまり」

もうすぐだね、と夜が明ける直前の空を見ながら結はそう言った。

もうすぐ、と言う単語に慌てて竜尊は結と同じく空を見上げた。

ぱたぱたところころと表情に結は楽しくてなんとなくほんわかな気持ちになって、竜尊ににっこりと笑う。



――過ごしたいのは、この鬼さんたち。

一年のはじめをあの人と迎えたくはない。

ただの気持ちの問題なのはわかるのだけど、だけど。

あの人と一緒に新しい年を迎えたら、なんとなく。

なんとなく、全部を憎んでしまいそうで。

だから、安心して、優しい気持ちで迎えたくて。

……甘えなんだけど、だから




「……はわっ!?」

ふわっ、と体が浮かんで、そして次に降りたのは温もりの上。

結にとってそれは得られないもので、しかしここに来ると、時々得られるもの。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ