フリー小噺

□バレンタイン小噺
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夢はそれを見ながら全く表情を変えずに淡々と言う。

毎年なのだから、いい加減に慣れた。


「流石この女子校一のイケメンさんですね。貰うチョコレートと言う名の愛の数が凄まじい」


「うん。色々つっこみたい所が多々あるんだけど、とりあえず。僕の知ってる意味でのその言葉は男の人に使う言葉だった気がするんだけどなあ」


「仕方がないじゃないですか。結さんは学校一のイケメンさんなんですから」


「…………。……夢さんだって女子校なのに地味に貰ってるよね?」

このままじゃ延々夢の思うつぼだ。

そう判断した結は夢の前にある幾つかのチョコレートを指差した。


それは夢に宛てられたチョコレート。

苦笑する結に「あぁ」とやはり詰まらなそうに返事を返して、夢はラッピングの間に挟まれている愛らしい便箋に書かれた手紙を取り、広げた。

読む素振りを見せながら夢は言う。



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