フリー小噺

□バレンタイン小噺
4ページ/24ページ


「中身、読みましょうか?」


「……はい?」

なんだかとんでもない人権侵害なことを夢は言った。

いやしかしまさか、そんなこと流石の夢でも言わないだろう。


「何回も言わせないでください。中身を読みましょうか?と言ったんです」

――言った。

結の聞き間違えでなく、夢ははっきりと人権侵害なことをさらりと言ってのけた。

顔色を全くかえずに。


「……いや、駄目でしょ?そんなことしたらそのお手紙をくれた子たちに失礼だよ」


「まず一通目」


「いやいや、だから」


「……『踏んでください』」


「……え?」

なんだか妙な言葉が出てきた。

……踏んでください?

手紙に?バレンタインに?

耳を疑う連続攻撃はまだまだ続く。

夢は二通目を広げた。


「二通目、『お姉様とお呼びしても良いですか?むしろお姉様、私を罵ってください』」


「……」




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ