Z組です、天才です!

□輪を成す家
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―side 紅羽―

この日、あたしは周の家へお邪魔することになっている。

それというのも、グループ研究のまとめ作業をするためだ。

歩とグレイが現地調査をしてくれた内容を、あたしと周がパワーポイントにまとめて完成させることになっている。

それを、周の家でやることにしたんだけど…



「周の友達か?」



チャイムを押すと、出てきたのは周ではなかった。

「あ、えと、はい…」

「じゃあ、あなたが周の言っていた子だな。周の父の輪(りん)だ」

出てきたのは、周のお父さんだった。

「藤紅羽です」

ペコリと頭を下げた。

顔をあげると、周のお父さんは周に似た顔で笑っている。

「紅羽、入りなさい。客間へ案内しよう」

「あ、はい!」

あたしは促されるままに、あたしは中へ入った。




「輪さん」

客間へ続く長い廊下を歩いていると、リビングから女の人が出てきた。

「美穂、周の友達だ。客間に茶を準備してくれ」

「あら、周のお友だち?こんにちは」

にこりと笑うその人は、周のお母さんのようだ。

あたしは頭を下げる。

「藤紅羽です。お邪魔します」

「ゆっくりしていってね」




客間へ入ると、周がパソコンに向かって作業をしていた。

「周、友達が来たぞ」

「はい、今行きま…」

振り返った周は、目を丸くしていた。

「父さん…私が出ると言ったじゃないですか」

「集中しているところに声をかけるのが憚られたんだ」

周のお父さんはそう言って部屋を出ていった。

周はばつが悪そうにあたしから目を反らした。

「あまり愛想のない父で悪いな。さあ、早速作業を始めるか」

周はそう言ってパソコンの前に座り直した。

あたしもそれに合わせて、パソコンを覗き込む。

「もうこんなに作ってくれたんだ!流石ね」

見ると、それはすでに半分ほど完成している。

「お前を待っている間にな。そっちのパソコンで発表原稿を作ってくれないか?」

「ん、わかった」

あたしは頷き、言われた通りに作業を始めた。






何分くらい経っただろう、

客間の扉を誰かが叩いた。

「母さんか…?どうぞ」

周が声をかけると、お盆を持って、誰かが入ってくる。

「お茶とお菓子、持ってきたよ」

お母さんかと思ったけど、それはあたしの見覚えのない人だった。

横を見ると、周が顔を青くしていた。

前を見れば、女の人がにっこり笑っていた。

あたしは何が起きているのかわからずに首を捻る。

「いつ帰ってきたんだ」

「さっき」

「何でわざわざお前が持ってくるんだ」

「お母さんが持ってけって」

盛大にため息をつく周に、あたしはますます分からなくなる。

そんなあたしに気付いて、周は説明してくれた。




「…姉だ」





姉…?

「…あんた、お姉さんいたの?」

顔を手で覆い、こくりと頷く周。

そんな周に構わず、あたしの前に出てくるお姉さん。

「姉の環(たまき)。紅羽ちゃんって言うんでしょ?よろしくね」

顔を青くする周ととって変わるように微笑むお姉さん。

その笑い方は、いつぞやの周にそっくりだった。





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