Z組です、天才です!

□冬休みとお兄ちゃん
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―side 真貴―

「どうぞどうぞ、上がって!」

「お邪魔します!」

冬休み1日目。

僕たちZ組は、琴乃様のご自宅に、2泊3日で泊まりに来ています。

というのも、クリスマスパーティーが終わってすぐのことが…





『おや、皆さん帰省の計画ですか?』

クラスで遠方から来ている女性3人が集まって話しているところに、僕が声をかけたのが切っ掛けです。

『そーだけど…』

結希様が言葉を詰まらせました。

代わりに琴乃様が立ち上がり、僕たちみんなに向かって言いました。

『みんなに提案なんやけど、冬休みって高校生活で3回あるやろ?だから…』

そして、琴乃様はにっこり笑う。

『京都と、』

結希様も立ち上がる。

『大阪と!』

そして、最後に紅羽様が。

『北海道、3年かけて、みんなで行かない?』





…ということがありまして。

琴乃様のはからいで、今年はみんなで京都に来ました。

さらに言いますと…

「へえ、すごくいい造り…!」

「ミズキ、見ただけで分かるの?」

「そーだよマリアちゃん、瑞樹は作り屋だからね!」

瑞樹くん、光海くん、マリア様も一緒です!

とっても楽しみな旅行なのですが、僕が一番楽しみにしていることがあります。



中に入ると、真っ先に出迎えてくれた方。

そう、僕はこの方に会うのを、何よりも楽しみにしていた。

「いらっしゃいませ、皆さん!」

琴乃様の妹、雅様です。





―side 雅―

「瑞樹くん、久しぶり!」

「雅!しばらくお邪魔するね」

瑞樹くんの手をとって、二人で喜びあう。

お姉ちゃんから連絡をもらったとき、私は喜ばずにはいられなかった。

友達を、それに瑞樹くんを、真貴さんを連れてきてくれるって!

喜ばずにはいられない!

「瑞樹から聞いてたよ、雅ちゃん!吉井光海だよ、ミツって呼んでね!」

「マリア・パピヨン。マリアでいいよ」

喜び合っていると、瑞樹くんの後ろからひょっこり顔を出した二人。

黒髪が綺麗な光海ちゃんと、対照的に綺麗な金髪のマリアちゃん。

「瑞樹くん、女の子二人もつれてきたの!?」

驚いて目を丸くしている私に、光海ちゃんは可笑しそうに笑った。

「ふふ、ごめんね?ミツ女の子じゃないんだー」

「女の子じゃない…って、ええ!?」

さらに驚いて声をあらげてしまう。

だって、こんなに可愛いのに、お、男の子!?

訳が分からなくなっていた私に、瑞樹くんが声をかける。

「びっくりするだろうけど、仲良くしてくれないかな?」

少し不安そうな顔をした、瑞樹くんと光海くん?の顔。

…そうだよね、趣味は人それぞれだし、光海くんは、悪い人じゃない。

「…うん!よろしくね、マリアちゃん、ミツ!」

笑顔を向けると、二人も笑顔で返してくれた。


皆さんを部屋に案内して、私も自分の部屋へ戻ろうとしたとき、

「雅様」

後ろから声をかけられ、振り返る。

「真貴さん」

そこには、にっこりと笑う真貴さんが。

夏休みに会ったときに連絡先を交換していたから、何度か連絡はしていたけど…

会うのは、久しぶりだ。

「すみません、こんなに大勢で」

「いいえ、とっても賑やかで楽しいです」

少し申し訳なさそうな顔をする真貴さんに、私は首を横に振った。

すると、真貴さんは安心したように笑う。

「3日間、楽しんでいってくださいね」

「ええ、ありがとうございます」

物腰の柔らかさも変わってない。

…うん、やっぱり真貴さんは素敵だ。

「まーきー!何やってんの?早く中入れよ!」

もう少し話したかったけど、中から歩さんが真貴さんを呼んでいた。

「今行きますよ…すみません、また後でお話しましょう」

「はい、また後で」

そう言って、真貴さんは中へ入っていった。

ああ…この3日間、幸せな日になることは間違いなしだ…!




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