Z組です、天才です!
□犬と日曜日
2ページ/3ページ
「犬…ですか」
周に連れてこられた真貴の家は…とてつもなくでかい。
地元で1番大きな家でも、こんなに無かったのに…
「あぁ、紅羽が拾ってしまって。どうだ?」
周が真貴へ犬をぐいっと差し出す。
「そう、ですね…飼いたい気持ちは山々ですが、家はお客様の口に入るものを作っていますので…申し訳ないです…」
「そうか…」
真貴の言葉に、周はしゅんとした(ように見えた)。
「僕も里親探しを手伝いたいですが、生憎、お母様の手伝いを頼まれているので…お力になれなくて申し訳ないです。」
「ううん、そんなこと無いよ。こっちこそ邪魔したね」
「いえ!では、頑張ってください。里親が決まったら、僕にも教えてくださいね!」
そう言って、真貴の家を後にした。
次に来たのは、叶の家
「犬ねぇ…」
叶は困ったように頬をかいた。
「俺もね、何度か拾ってきたことがあったんだけど…家で動物飼うのは、危険だよ」
あたしには、叶の言ってることがさっぱり分からなかったけど、周は納得してるみたいだった。
「あぁ…あの人たちが居れば、それは危険だな」
「だろ?」
首をかしげているあたしに周が気付き、叶うに説明するよう目配せした。
「家の母さんと弟、小さくて可愛いものが大好きでさ…昔、子犬を拾ってきたら、振り回す振り回す!!これじゃ、犬が死んじゃうと思って慌てて里親探したよ」
そ、そんなことが…
叶の家には、この子は置いて置けないかな…うん。
「…と言うことで、家はパス。悪いね」
そうして、叶の家もダメだった。
「次は歩の家だが…行かなくても、結果は見えてるな」
「え?何で…」
周はふう、と大きなため息をついた。
「考えてもみろ。あの歩だぞ?」
…確かに。
歩のことだからきっと――
『はぁ?僕が犬なんか飼うわけ無いじゃん!
汚いし、煩いし、僕世話なんかできないし!』
周はあたしの顔を覗き込んで、「な?」と苦笑。
「…仕方ないから、この辺の家当たってみよっか」
「だな」
あたしと周は、空が赤くなるまで手当たり次第に家を回った。
.