Z組です、天才です!
□北十字星
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ーside グレイー
「グレイはん?どないしはりました?」
いつの間にか暗くなってしまった窓の外の景色を、ぼんやりと眺めていた。
自分でも気づかないうちに、時間が経ってしまっていたみたいだ。
「…ただいまぁ」
ことのんに向かってそう言うと、不思議そうな顔をした。
そりゃそうだ。
突然ただいまなんて言われて、困らない方がおかしい。
「おかえりなさい。…もう、ホントにどないしはったんどすか?」
だけどこの子は、可笑しそうに笑って返事をしてくれた。
あぁ、もう本当に…
この子は、いつも俺の欲しいものをくれる。
それに、いつも俺を癒してくれるし。
だから、この子なのかな
俺の本当に欲しいもの、この子となら…
「…って、ことのん!?まだ帰ってなかったの!?」
「い、今さらやねぇ…。うち、今日は委員会の仕事があっててん。
教室よったら、グレイはんいはったもんやから、声かけたんやけど…迷惑やった?」
俺はブンブンと首を横に振った。
「そんなことあるわけないでしょ!むしろ嬉しいし!」
「そんなら良かったわ。グレイはん、良かったら一緒に帰らへん?」
今度は首を縦に振る。
「帰る!待ってて、今支度するから!」
慌てて準備をする俺を見て、ことのんはくすくすと笑った。
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