Z組です、天才です!
□腹痛と特効薬
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−side グレイ−
5階と4階を繋ぐ階段の踊り場
俺は壁に寄りかかり、腹を押さえる。
「っ…痛ぁ…」
胃が痛い。
委員会室で、先月の文化祭の決算をしていたら、腹がチクチクと痛みだして、
保健室に行く前に猫サンに言わなきゃと思って、出てきたのが間違いだった。
チクチクはキリキリに代わり、今は立てないほどに痛い。
「いっ…う…」
俺、何か変なもの食べたっけ?
朝も昼も、亜沙美さんが作ってくれたものしか食べていない。
「痛ぁ…痛ぁ…っ、スマホ、置いてきたし…」
ポケットを探ってみても、スマホは入っていない。
連絡がとれない。
どうしようもなくなった俺は、その場にうずくまるしかく、
額に浮かぶ脂汗すら拭えなかった。
「ちょ…グレイ!どうしたの!?委員会室にもいないから探しに来たら…顔真っ青よ!」
「あ…猫サン…」
いったいどれくらい経っただろう
上の階からパタパタと足音が聞こえてきたと思えば、
猫サンが俺の前にしゃがみこんで、慌てた様子で声をかけてくれた。
「腹が痛くて…保健室行く前に猫サンに言おうと思って探してたら、痛すぎて立てなくて…」
「そうだったのね…肩貸してあげたいけどあたしじゃ小さいし…ちょっと待ってて!」
霞む視界の中の猫サンは、またどこかへ行ってしまった。
「草サン、ごめんなさい…」
「そんな青い顔して謝るな、ほら、保健室だぞ」
俺は草サンの肩に掴まって、保健室まで連れてきてもらった。
痛さで上手く歩けない俺に合わせて、ゆっくりゆっくり歩いてくれた草サン。
付き添ってくれた猫サンは保健室の扉を開けてくれて、その向こうには薬を準備して待っている白馬サンがいた。
「大丈夫か、グレイ。猫から連絡貰って、薬準備してたからな!」
白馬サンの慌てることのない落ち着いた対応に、俺は少しほっとした。
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