Z組です、天才です!
□腹痛と特効薬
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−side マリア−
「キューセーセーイチョーエン?」
『そう。最近仕事入れすぎたみたいで、ストレスでかかっちゃったみたい』
「そ、それで今グレイは…?」
『3日間出停で辛そうに寝込んでるよ』
「…」
昨日の夜のこと。
独り暮らしのマンションの部屋に、着信音が鳴り響いた。
普段はなかなか連絡の来ない、アユムからの連絡。
なんだか胸騒ぎがして、受けた電話は案の定だった。
霧斗が…胃腸炎で倒れたらしい。
頑張りすぎる人だから、いつか倒れるんじゃないかとは思ってたけど…
いざ、そうなってみると、こんなにも不安にかられるなんて。
私が返事をできずにいると、電話口の向こうから優しい声が聞こえてきた。
『明日の放課後、見舞いにおいでよ』
「でも…私が行ってもいいの…?」
『当たり前だよ、明日、学校が終わったらおいで』
「…Merci」
電話の向こうで、アユムが微笑んだ気がした。
そして今日。
学校が終わると、すぐにアユムの家へ向かった。
向かう途中、アユムの家の近くのスーパーでお見舞いのヨーグルトとパインを買った。
霧斗はフルーツの入ったヨーグルトが好きだったから、きっと喜んでくれる。
昔のことを思い出しながら、私は足早に目的地に向かっていった。
「あら、マリアちゃん!久しぶりねえ!」
家につくと、迎えてくれたのはアサミさんだった。
「こんにちは」
この家に来るのは半年ぶりくらいで、私も少し緊張していた。
「あの、グレイが倒れたって聞いて、お見舞いを…」
「まあ、わざわざありがとうね」
アサミさんはにっこり笑うと、中へ通してくれた。
「あ、マリア、来たね」
グレイの部屋へ向かう途中、アユムが部屋から出てきた。
「アユム。昨日は連絡ありがとう」
「どういたしまして。いいタイミングだね、さっき先客が帰ったところだよ」
「先客…?」
私が首を傾げると、アユムは余計なことを言った、といった表情で頬をかいた。
「まあね。さ、早くいっておいで」
アユムは何か誤魔化すように、私を急かした。
「おじゃまします…」
「あれ、ことのん…じゃないね」
部屋へ入った私への第一声は、それだった。
一瞬、背筋が凍った気がした。
ことのん…
確か、オープンスクールで、霧斗と同じクラスにいた人…
たった一瞬で、沢山のことが頭を過った。
けど、今、辛い思いをしてるのは霧斗だから。
私は無理矢理笑顔を作った。
「残念、私でした。お見舞いにきたよ」
私はベットでぐったりと眠っているグレイに近づいた。
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