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□★シロツメクサ(L)
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私が作ったシロツメクサの花冠。
それはよく、貴女の髪を飾っていた。
私は願う。
その花はずっと貴女に降り注いでくれることを――。





シロツメクサ





夜神家と北村家の監視カメラを外して、数日たったある日の事。

「竜崎…ちょっと」
「なんだ、ワタリ……何!?」

珍しくワタリが少し困惑した様子で、Lに耳打ちした。
ワタリから告げられたその内容は、Lには予想外だった。表面には出さなかったが、確かに動揺していた。
ある人の意外の訪問に――。

その人を捜査本部にある自分のプライベートルームに通すようにワタリに命じて、Lは「ちょっと出てきます」と言い残して、プライベートルームに向かった。


「ここには来ないように言ったはずですが?」
「……はい…」
「ここにキラがいないとは言い切れないんですよ?解かっているんですか!?」
「……はい…ごめんなさい…」

ベッドと最小限のものしかない殺風景な部屋。
そのベッドにちょこんと座り、声を荒げたLの言葉に一瞬竦みながらも素直に謝る彼女。
Lが声を荒げるなど滅多にしない事で、長年彼の傍にいたワタリも驚くほどだ。
彼女はLと同じ施設で育ったLの幼なじみであり、そしてLの恋人だ。
いつもならワタリと共に色々とLの世話をしてくれるのだが、今回のキラ事件に彼女が付いてくるのをLは許さなかった。
近年稀に見ない凶悪事件――誰がキラかもハッキリしないこの事件に彼女を晒すことはしたくなかった。
何せ相手は顔を見、名前を知るだけで人を殺せるという、そんな見えない犯人が相手なのだ。現に自分の命が大切だということでこの事件から手を引いていった捜査員達は大勢居たのだ。
Lがキラ事件に赴く事に彼女は反対をしなかったし、Lに付いてきてはいけないと言われたときも彼女は素直に頷いた。
しかし、この事件がどんなにやっかいで恐ろしい事件かは彼女もよく解かっているはずなのだ。
だから、どうしても心配だったのだろう。せめて無事かどうかだけでも知りたかったに違いない。

「ごめんなさい……」

彼女は俯き、もう一度小さく謝った。
そんな彼女を見て、Lは息を吐いた。ワタリを見て「少しの間、二人に」と告げて下がらせた。
二人きりの部屋に、少し重苦しい空気が流れる。長い沈黙を破ったのは、彼女だった。

「L…怒ってる?」
「ええ、怒ってます」

彼女の問いかけにLはアッサリと肯定の言葉を口にした。
そしてすかさず彼女を抱きしめた。
ああ、とても久しぶりに感じる彼女の暖かい温もり。どこか懐かしい香りがする。そうだ、幼い頃彼女の髪を飾っていた花はこんな香りだった。確かあの花はシロツメクサ。

「L…怒ってるんじゃないの…?」
「……少し黙って… 」

彼女を抱きしめながら、Lは微笑む。
こんな所まで来た彼女を立場上怒りはしたが、嬉しくもあったのだ。
危険を承知で、自分に会いに来てくれたことが。自分の命が危険に晒されようと、自分をそこまで心配してくれていたのだろう。
彼女の様子から、それは自惚れではないと解かる。
彼女はLの背中に手を回し、呟く。

「L…無事でよかった……!!」

涙声でそう言う彼女に愛しさが止まらない。無事だと知って涙まで浮かべてくれる人が貴女で良かった。思わず抱きしめる腕に力が強くなる。
そっと彼女を離したら、その瞳にはやはり涙が光っていた。
その涙をちゅっと音を立ててキスで拭うと、ふっと笑った。

「泣き虫なのは昔から変わりませんね」
「私が泣くのはLの事でだけよ?」
「…………っ!」

さらりと、さも当たり前と言うように言ったその言葉は、世界の名探偵Lにカウンターを喰らわした。
しかしその言葉は、今まで捜査で忘れていたLの欲情を呼び覚ました。
Lは彼女の肩をぐいっと引き寄せ、激しいキスをした。
角度を変えて何度もキスを繰り返す。彼女の両手はいつの間にかLの肩に置かれている。

「んっ…ふぁっ…、ちょっ、と…Lっ…んん…」

彼女が何か言おうとした事さえ無視してキスを続けた。
背中に手を回し、彼女をベッドに押し倒す。その間も激しいキスはやめない。肩に置かれている手に少し力がこもる。
怯えている彼女舌と自分の舌を絡める。唾液を彼女に注ぎ、それを彼女がこくりと飲み込む。その際に彼女の口から伝った唾液を舌で舐め取った。
唇を離すと、彼女は荒い息を吐きながらLを上目遣いで見つめる。涙で潤んだ瞳が何ともいえない。その瞳だけで煽ってくる。
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