20のお題
□02:君のため、それはきっと私のため。(ロビゾロ前提麦わらオール)
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この船のクルーはみんなとても優しい。
いえ…一人ひとり違った優しさを持っている、と言った方が正しいかしら。
船長さんは、太陽みたいなひと。
私に生きたい、って初めて思わせてくれたひと。
いつも笑っていられるのは、彼が強いから。
誰よりも強く、みんなを守ることができるのが、彼の優しさ。
航海士さんは、とてもしっかりものね。
いつも考えるより先に身体が動いてしまうみんなを、叱って立ち止まらせるの。
でも、強がりなところもあるのよね。
みんなの歩みを止めるようなことは絶対にしない。だから…弱みを見せないの。
それが彼女なりの…優しさなのね。
もちろん、みんなそのことには気づいてるはずだけれど。
長鼻くんは、 賑やかなひと。
怒ったり笑ったり泣いたり、感情をすぐに表すの。見ていてとっても面白いわ。
彼のすごいところは、それでいてちゃんと周りを見ている所ね。
自分が強くない人間だと知っているからこそ、周りを気にかけることができる…ということなのかしら。
そんな彼の優しさは、とっても素敵よね。
船大工さんは、もう人間と呼んではいけないかもしれない…
なんてね、冗談よ。
彼の身体はサイボーグだけれど、私達は誰もそんなことを気に留めはしないわ。
もちろん、船長さんや長鼻くん、トニー君なんかは目を輝かせているけれど…。
彼のその胸の厚い鉄板、強化された逞しい腕、それらは船や私達を守るためのものであると、ちゃんと分かっているものね。
それに、手が冷たい人は心が暖かいとよく言うけれど、彼は人一倍暖かい心の持ち主よ。
たとえ掌が冷たい鉄のアームでも、彼が流す涙のあたたかさがそれを打ち消すわ。
彼には…そうね、暖かな優しさ、という言葉がふさわしいでしょう。
トニー君は、ほんとうに愛らしいひとね。
見た目はもちろんそうだけれど、とっても純粋な心の持ち主。
医者としても優れている彼の、いつも一生懸命な気持ちは、周りのみんなにも伝わっているんじゃないかしら。
彼はそんな癒しの優しさを持っているわ。
骸骨さんは、トニー君とはまた違った愛らしさがあるわね。
まるで遺跡みたいに味があるひとよ。
彼はとってもお下品で、陽気なのだけれど、同時にその胸に熱い魂を秘めているような気がするの。
仲間達―私達だけでなく、かつて失った仲間も―への想いが、彼を生かしているのでしょうね。
彼の音楽にもその魂が籠っているのを感じるわ。
彼は誰よりも秘めた優しさを持ったひと。
コックさんは、スマートに見えて実は不器用なんじゃないかしら。
いつも女性に恭しく使えたり、反対に男性…特に剣士さんに喧嘩を売ったりしている彼だけれど、一味全員の健康に完全に気を配っているのも、他ならぬ彼だもの。
素直に感情を伝えられない照れ隠しが、かわいいひとね。
コックさんの優しさは、そんな隠れた優しさだと思うわ。
そして最後に残ったひと…
剣士さんの優しさは、厳しさね。
仲間って素敵な言葉だけれど、同時に脆いものでもあるの。強い信頼関係がないと、裏切りであっけなく崩れていくのよ。
私はそれをずっと身体で感じてきた。
だから、この一味がこうやって進んでいけるのは、剣士さんが時に厳しく船の掟を唱えてきたおかげ。
そんな厳しさの中にある優しさに、みんな気づいているはずよ。