おはなし

□茜空(サンゾロSS)
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茜色に空が染まり
今日もまた
偉大なる航路の向こう側に日が沈む。
夜の帳が 
すこしずつこの島にもやってくる。




組み木の中では
空より僅かに明るい色をした炎が
それを囲んで踊る
人々の気分を汲み取ってか
愉しげにはぜていた。






「この勝負、俺達の勝ちだ !!!」






またひとつ、冒険が終わりを告げた。


ちいさく 一歩ずつ ではあるが
でも確実に

俺達の旅は終わりに向かっていた。
見え始めたそれぞれの夢の終着駅。




「なあ コック…
オールブルー見つけたら
てめェこの船降りんのか?」




「いや。
料理は相手あってこそだからな。
その点、うちの船長は
俺が腕を振るうに申し出ねぇヤツだ




…ゾロ てめぇはどうすんだ?」






「俺、は…」


ずっと上を見てきた。
もっと強く まだまだもっと強く
と願って。




だがもし一番上に立ったなら
俺はどこを目指せばいい…?








「コック…
俺、迷子かもしれねェ。」





コックは一瞬目をしばたくと
軽く、優しく笑った。


「ばかやろうが、
 やっと認めやがったか。

…大丈夫、おまえは迷いやしねェよ。
帰ってくる場所は
いつもココだけ、だろ?」









温もりってやつは信用できねぇ




油断すればすぐさま
この瞳に宿る野望の閃きを
失ってしまいそうで








だが
丸くなって腕に抱かれるのも
悪くねェかもな。








コックの傍でなら、だが。






(→後書き)
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