おはなし

□甘い宴(サンゾロ前提麦わらオール)
1ページ/4ページ


「ヒナマツリぃー?
 なんだそれ,食えるのか?」

船長が首をかしげる。




「たぶん…ひな祭り、だろ。
ってことは祭なんじゃねェの?」

ここ最近、サニー号で毎日繰り広げられているチャンバラごっこを勝ち抜くために、自身の工房で新たな秘密兵器開発にいそしんでいた狙撃主は、あっそこ危ねぇから入ってくんなよ、と付け加えながらそう推理してみせた。


「…よしできたぜ!
 シャープペンの芯に
 サボテンのとげ…つまようじ…
これらをたっぷり詰め合わせて…
必殺、チクチク星の完全だ!
 これでルフィもいちころだろ」


「うわ、痛ったそーだナ!!
 …ウソップ、
 オレには当てないでくれよ?」

傍で見ていた船医が青ざめる。



「おれはそんなんじゃやられねーって。
それより ヒナマツリだろ!
祭はいいよなーたのしぃーし、な!
 だけど
 ヒナってなんだよヒナってよぉ〜!」



「…海軍に確か『黒檻のヒナ』
 と名乗る女性がいたはずだけれど…
おそらくお祭りとは無関係でしょうね」
「お?アレか?
もしかして『ひな壇』の『ひな』か?
ウォーターセブンじゃあ
ガレーラのやつらがよく作ってたぜ?
…だが…アレのどこが祭だってンだ??
んースーパー分からねェぜ!!」



「ヒナといえば
 鳥の赤ちゃんのことなのでハ?!
動物の赤ちゃんは可愛いですよネ!
頬擦りしたくなっちゃう。
…ってワタシ、
 ほっぺたないンでしたー!ヨホホ!」








駄々をこねる船長に答えて考古学者・船大工・音楽家がそれぞれの考えを口にする。
剣士は寝ているのか鍛錬でもしているのか、その場姿を見せていなかった。













その後、キッチンにて。


「…どうやら誰も知らないみたい。
残念ね、サンジ君。」


「いえいえ、ナミさんが俺の為に
 聞き出しをしてくれただけで
俺は十分、満足ですよ?」


「ばかねぇ…それが満足って顔?」
  


「…ナミさんには、かなわねぇなぁ。

 …まりもの奴がね、
『今日は雛祭りだな…』
つって
 すげえ懐かしそうな顔しやがるんですよ。
ああ、俺の知らねェこいつがいる
って思ったら…
なんか悔しくなっちまって。


 …ってナミさん相手に
 何言ってんですかね俺は。
 くそっ…情けねーな…
すみませんナミさん」





「…はーっ。
 ほんっっとバカなんだから。

意地はってうじうじするぐらいなら
素直にゾロに直接聞きなさいよ。
どうせ、聞けなかったんでしょ?」



「…ですよね。
ありがとうナミさん、
やっぱり君は最高のレディだよ」


「ばか言ってないで
 さっさと行きなさいよ。
…たぶん、見張り台にいるわ。」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ