おはなし
□まりも記念日(ゾロ総受け,麦わらオール)
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「あら」
甲板で本を読んでいたロビンがふとページをめくる手を止めた。
「どうしたのロビン?」
横でジュースを飲み、くつろいでいたナミが問う。
「ナミ、あなた今日…3月29日って何の日か知ってる?」
「知らないわねぇ〜。なに、何か特別な日なの??」
「特別…といえば特別かしら」
くすっ、と笑うロビン。
「1952年の今日にね、北海道阿寒湖のマリモが国の特別天然記念物に指定されたんですって。」
「ぶっ…まりもって…うちのあの寝腐れ剣士のことじゃない」
「ふふっ…だから今日のことを、まりも記念日って言うみたいよ」
「へぇ…面白いわね〜♪じゃあ…うちのマリモもたっぷり可愛がってやらないとね♪」
ナミはにやり、と悪い笑みをもらして立ち上がり、船首のほうにすたすたと歩きだした。ロビンも微笑してその後を追う。
船首には、錘を持ち上げて振り回すいつものトレーニングを終えて、そのまま寝入ってしまった剣士の姿があった。
日向に寝そべっているせいか、その広い額には汗がぷつぷつと浮き出している。
「呆れた…まぁた昼間っから寝てるわ。ちょっとゾロ!起きなさいよ〜」
ぐいーっと両耳をひっぱられて、剣士は眉をひそめながら薄目を開いてナミを軽く睨んだ。
「いきなり何だ、昼飯か?」
大きく伸びをして、欠伸を一つ。目尻に涙が少し滲んだ。
「あんた今日なんの日か知ってる?」
「はぁ?」
「剣士さんは…知らないんじゃないかしら。教えてあげたらどう?」
助け船を出すロビン。
「仕方ないわねぇ〜。今日はね、まりも記念日なのよ!わかる?ま・り・も、よ?ま・り・も !」
「言っておくがな、俺ぁマリモじゃね…うおっ?!おいナミ!おまっどこ連れてく気だ!」
「良いから!さっさと来なさいよマリモ」
「だからマリモじゃね…!!うぐっ」
ゾロはナミにひっつかまれ、ロビンに口を塞がれてじたばたしながら風呂場に連行された。
「さてと…」
ナミはゾロを木桶の上に座らせ、自らの花柄のシャンプーのボトルを手にとる。
「いい子にしてるのよマリモちゃん?」
「頭ぐれえ自分で洗える!」
ナミからボトルをひったくろうとするゾロ。
「あら…じっとしてないと…」
「…っいてぇ!」
「ほら、目に入ると沁みるわよ?」
ゾロは懲りたのか、文句を言いながらもあからさまには反抗せずおとなしく二人に従うようになった。
ロビンは頭に手を咲かせてシャンプーをしゃかしゃかと泡立てながら楽しそうに笑っている。
「はい、流しますよ〜」
「…ん」
シャワーのお湯が耳に勢いよくかかり、びくっと身体を震わせるも、おとなしくされるがままになっている。
汗を吸って少しべたついていたゾロの短い髪は、ロビンの手もあってものの数分で綺麗に洗い上がった。
「これでお手入れ完了よ★」
「…ふぅ」
短く息を吐き、頭を左右に振って水滴を弾きとばすゾロ。
「後は乾かすだけね。」
二人はゾロを連れて再び甲板に戻った。