20のお題
□04:夢も見ずに眠れたら(ルゾロ前提ミホゾロ/R18)
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ここは、クライガナ諸島シッケアール王国跡地。
七武海の一角である鷹の目のミホークは、その住まいである古城に、バーソロミュー・くまによって飛ばされてきた緑髪の剣士を匿うことに決めた。
ある夜。城の広いテーブルの一角で、鷹の目・剣士・幽霊女の三人が晩餐を取っていた。最初こそ反発してミホークとは別の場所で過ごしていたペローナとゾロだが、城で過ごすようになって暫くたつ今は自然と、寝食を共にするようになっていた。
「まったくここは男ばっかりで、むさ苦しいったらありゃしない!
あ〜あ…カワイイ召使いが欲しいよ〜!」
ペローナが、ミホークの用意した肉料理にクリームソースをたっぷりかけて頬張りながら、既に常套句となった文句を言う。
「…可愛くなくて悪かったな」
一瞥して酒瓶を傾けるゾロ。既に料理は食べ終わったようだ。
「ほんとだよ!ごついし、声低いし、 目付き悪いしさ。男の中でも特にカワイくないよな〜オマエって」
優雅にワイングラスを傾けていたミホークは、その言葉にフッと笑むと、皿についたクリームを人差し指で掬って舐めていたペローナを一瞥する。
「ロロノアの可愛さが分からんとは…女、お前もまだまだだな」
ペローナの手からゆったりとした手つきで皿を取り上げ、流しに運ぶ。
「う…うるさい鷹の目!わ、わたしだって、寝顔とか、意外と素直なとことか、そういうのは案外かわいいと思っ…て、何言わせるんだ!!」
「クククッ…分かってくれているようでよかった」
ミホークは水道を捻って皿を洗い流しながら喉を鳴らして笑った。
ゾロは二人を交互に見やると、愛らしく小首を傾げて真顔で問う。
「おいお前等勝手に何言ってるんだ?俺のどこが可愛いっていうんだよ」
「ロロノア…少しは自覚した方がいいと思うが」
皿を洗い流しながら苦笑し、ペローナと目線を合わせる。
「なるほど、天然でソレとはタチが悪いやつだ…あたしはちゃんと分かってるよ、あたしは可愛い、ってな♪ホロホロホロ…」
「…意味が分からねぇ」
首を振りながら自らの皿を持って流しに向かうゾロ。
「まあ俺はロロノアの方が好みだが」
「なんだって鷹の目?!ゴーストプリンセス・ペローナ様を差し置いて、この天然筋肉バカ剣士を選ぶのか?」
ペローナが喚く声を聞き流しながら皿を拭こうとしていた横から手が伸びて、皿を持っているミホークの右手を掠める。
「おい…鷹の目。後は俺が洗う」
ぐい、と流しとミホークの間に割り込み、そのまま皿を奪って拭きだす。
その横顔は無骨だが不機嫌ではない。
「…愛い奴よ」
ミホークはまたわずかに口角を引き上げると、ぎこちなく皿を拭く男の背後から、耳元に囁く。
「礼は…今宵してやろう」
男の頬がわずかに朱に染まるのを確かに見届けて、ミホークはキッチンを後にした。