おはなし

□あるいちにち(サンゾロ)
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横断歩道をちゃんと青信号で渡ると、もう
すぐ目の前に幼稚園だ。
「いってくるぞくそじじー!」
「いってきます、とうさん!」
大人たちに見送られて、二人は元気に手をふっていってきますをした。
お弁当を入れたリュックと、ななめがけ水筒もちゃんと持っている。



園に入ると、先生が出迎えてくれた。

「お早う、サンジくん、ゾロくん。今日もなかよしね」
「はよーございます、まきのせんせ!せんせいきょうもかわいーよおっ」
「おぅ、まきの」
「こらぞろ、まきのせんせいにそんないいかたすんじゃねえ!」
サンジは手をつないだまま、もう片方の手でげんこを作ってこつ、とゾロにお見舞いする。ゾロはいてえ、とサンジをにらんだ。

エプロンをして髪をお団子にしたマキノ先生は、いいのよサンジくん、と言ってくすくす笑っている。
足元には、黒いくせっ毛の髪の男の子が、まきのーはらへったーとぐずりながらひっついている。
二人は男の子にもおう!とあいさつすると、荷物をしまう棚にリュックをほうりこむ。
それから、もう一度手をつなぐ。

そうしているうちに、ぐずっていた男の子の声が嬉しそうな声にかわっていた。お兄ちゃんがやってきたのだ。
男の子のお兄ちゃんはエースといって、5さいなので、バスであとから幼稚園にくる。
エースは運動神経ばつぐんで、サッカーがめちゃめちゃ上手いので、サンジもゾロも、いちもくおいている。

「ルフィ、砂場いくぞ」
「おれ、とんねるつくるー!」
どうやら兄弟は園庭に行くようだ。


ゾロはサンジをちら、と見る。
「よし、おれたちも行くか!」

サンジはいわなくたってゾロの言いたいことをよくわかってくれるから、ゾロはサンジと一緒にいるのがすきだ。

ゾロは返事の代わりにサンジのほうをみてにやりとしてみせる。
そのかおが凄くワルモノっぽくて、サンジは思わず声に出して笑ってしまう。

ゾロはあんまり喋らないけど、サンジが喋ればいろんな面白いかおをするから、サンジはゾロのそばを離れられない。





そうして二人は砂場に向かって駆けてゆく。
いちにちが、はじまった。







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