理想と真実
□ジムリーダー・アロエ
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「捨てられた!?どうして!?」
「…恐らくそれは…」
アロエはことの発端を話始めた。
少し前に挑戦しに来たトレーナーはこのダゲキを一番手として自信満々に出してきた。
しかし結果、トレーナーはハーデリアとミルホッグ、どちらも倒すことは出来ずアロエに完敗した。
トレーナーは負けたのはダゲキのせいだと、ダゲキを殴る蹴るなどの虐待を加えたうえ怒声をあびせた。
しかしアロエから見れば敗因は、明らかに男の判断ミスと指示のミスだった。
アロエはその男に怒りをみせ、説教したが、トレーナーは全く自分の否を認めなかった。
それどころか、敗因の全ての原因をダゲキに押し付けた。
しばらくして、男が再挑戦しにきた時にはダゲキがいなかったので、問い詰めると『弱いポケモンなんて必要ない!あの弱いダゲキは痛め付けたあと、修行の岩やに捨ててきた』と罪悪感のかけらもない様子で言ったという。
「全く、本当に驚いたよ。ポケモンをあんな風に扱うトレーナーがいたなんて…」
「…そんな…酷すぎる…敗因を全部ダゲキのせいにするなんて」
トウコは怒りをあらわにし、驚いていた。
自分が今まで見てきたトレーナーはみんなポケモンを本当に大事にしていて、たとえ負けても決して責めず、優しく労っていた。
「…多分、そのダゲキがトレーナーにバトルを仕掛けていたのは、自分は弱くないって証明したかったからじゃないかい?」
「そうなの?ダゲキ…」
気まずそうにダゲキは頷いた。
「優しくされることに慣れてないから、動揺してたんだろうね」
「ダゲキ……」
トウコは優しくダゲキを抱き締める。
「大丈夫だよ、私は何があってもアナタを見捨てたりしない…トレーナーがポケモンを大事にするなんて当たり前なんだよ。それに悪いのはアナタじゃない」
ダゲキはまだ動揺しているというより驚いた感じだった。
「私もまだまだトレーナーとして、未熟だけどアナタはアロエさんのハーデリアに勝てた。だからアナタは弱くないんだよ」
アロエやフタチマル達は暖かくトウコとダゲキを見守っていた。
「…トウコだったね…アンタは素晴らしいトレーナーだよ」
アロエはニカッと笑ってそう言った。
ガシャーーン!!
「!?」
突然大きい物音が響いた。
「ママー、大変だよ!プラズマ団って名乗ってる奴等がドラゴンの骨を頂くって!」
「プラズマ団が!?」
服館長のキダチが焦った様子でアロエの元に飛んできた。
「何だって!?」
「あっ!私も行きます!」
アロエは急いで階段を上がってき、トウコもそれに続いた。
END