鬼と殺人鬼

□終わりのハジマリ
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その日は、いつもとなんら変わりのない普通の1日な筈だった。
珍しくリビングに兄弟達が集まり、賑やかに過ごしていた零崎一賊。


「欺識のにーさん!空姉がタルト作ったから一緒に食べよ!!」

「その前に、手を洗ってこい。祭識」


さっきまで、外で遊んでいたのだろう。
手や服が汚れている祭識がそのまま欺識の方へ抱き付こうとしていたので、礼識は祭識の襟を掴み上げて、そう言った。


「けどさ、礼兄!手なんか洗ってたら、累兄に全部取られるじゃん!!」

「では、手を洗わずに双識の作ったケーキを食べるか、手を洗って空織の作ったタルトを食べるか選んでいいぞ?」

「うっ…。洗ってくる………」


とうとう祭識は言い返すことが出来ず、唸りながら、洗面所へ向かって行った。


「手を洗ってこいって、お母さんみたいなこと言うんだね、ソルティって」

「お前も、一言多いぞ。だから、累識に怒られるのだろう?」


余計な一言を言った滓識の頭を礼識は軽くコツンと叩く。
その傍らで、黙々と空織が作ったタルトを頬張る欺識。



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