零崎一賊

□妖と少女
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「助け、て……っ、誰か助けて!!」


夕暮れ時、いつものように部活も終わり、学校から帰っていた優華は、その日何故か謎の化物に追われていた。


「お願い……、誰か助けて!」


人が全くいない道をひたすら走り、逃げていた優華だったが、化物もしつこく追い掛けてくるばかり。


「ーーっ!!?」


そして、辿り着いた先は行き止まり。
とうとう逃げ場がない状態となってしまったのだ。


「い、や……っ」


そこへ化物は、涎を垂らして追い詰めた獲物の方へ少しずつ近寄っていく。


「いやぁ……っ、来ないで…!」


少しずつ迫り来る恐怖に、ここで死んでしまうんだ、と優華はそう死を覚悟し、目を瞑った。
その時ーー


「ーー??」


くる筈の痛みはいつまで経ってもやって来ず、代わりに化物の呻き声がその場に響き渡ったので、不思議に思った優華は目を開いた。
すると、化物の動きは止まっていて、更に男が優華を護るように立っていたのだ。


「今の内だ。逃げるぞ」

「えっ!?」

「掴まれ」


誰だか知らないが、優華は迷わずその差し伸べられた手を掴む。
すると、男は優華を自分の方へ引き寄せ、その身体を軽々と片手で抱き上げるとそのまま飛び立っていってしまった。



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