陰陽師の言霊

□第2夜
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いつものように、昌浩と物の怪は夜の見回りへ出ていた。
そんな中、結月は眉間に皺を寄せていた。


『(……何か、嫌な予感がする)』


何かを感じ取った結月は、巫女袴に着替え、昌浩達の後を追うため、静かに部屋から出ようとしたがーー


「何処へ行くつもりだ?」

『ーー!?り…、りっくん……』


行動がお見通しだったのか、六合に呼び止められてしまった。


『ちゃんと竜耶も波輝もいるから』

「……………」

『絶対に無茶はしないから。だから、お願い。内緒にしてて?』

「……………」


彼から返ってくる無言が怖い。
しかし、昌浩や紅蓮に、もしもの事があってはと、結月も引かなかった。


「わかった。なら、これを羽織っていけ」


そう言って、六合が渡してきたのは長布。
しかし、どうして彼がそれを渡してきたのか理由がわからない結月は、首を傾げていた。


「夜はまだ冷える。風邪を引かせるわけにはいかないからな」

『ありがとう、六合。…いってきます』



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