闇夜に潜む猫
□嫌なヤツ
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由那に捺鬼の事を報告され、紫雲一同は朝から憂鬱な気分である。
「なんで、よりにもよって、捺鬼の正体がアイツらなんだよ」
「知るか。俺に聞くな」
「とりあえず、生徒会長には要注意だね」
いつものような笑い話が出てこないほど、ショックが大きいらしい。
「あ〜ぁ…、平凡な学園生活を送るつもりだったのになぁ。神よ、私が一体何をしたと言うのだ?教えてくれ」
「はいはい。演技がしたいのなら部活でやってね、隊長」
空に向かって両手を広げる未央を海斗は哀れむような目で見て、そう言った。
由那と奈織は、一緒にいて恥ずかしいのか他人のフリ。
「今日は部活もないからな〜。部長が休みらしいし」
「だからって、こんな道のド真ん中でやらないの。注目の的だよ?アンタは」
「マジか!?俺って人気者じゃん!」
「由那さ〜ん、隊長が壊れたぁ」
しかし、そこに由那の姿はなく、完全に見捨てられた海斗さん。
「……………こんの裏切り者がぁぁあああっ!!!」
海斗の叫びだけが、その場に虚しく響いただけだった。
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