猫の休憩室
□安倍家の長男は愛されている
2ページ/5ページ
「……それもそうだな。騰蛇を見掛けたら、知らせてくれ」
「わかった」
今だに、怒りMAXの青龍は、それだけを言うと部屋を出て行ってしまった。
その彼の気配が完全になくなったのと同時に、六合は再びベッドへと目を向けて、言葉を放つ。
「もう出てきてもいいぞ、騰蛇」
「やっと行ったか……」
ベッドの中から現れたのは、犬猫のような物の怪。
この物の怪こそ、青龍が探していた人物、騰蛇もとい紅蓮である。
「また傷を負ったと聞いたが、大丈夫なのか?」
六合の問いに、物の怪は元の姿へ戻り、眉間に皺を寄せながら答えた。
「少し掠っただけだ。大体、どうして俺だけ怒られなきゃいけないんだ?アイツだって、傷くらい作るだろう」
紅蓮の言っていることは、ごもっともである。
見た目が他と違っているせいか、この3人は、よく争いごとに巻き込まれやすいのだ。
その中でも、この紅蓮は特に。
「青龍も、心配しているのだろう」
「アイツが心配をね〜……。まっ、どうでもいいけど」
そう言って、紅蓮が六合の部屋から出ようとした時だった。
.