野良猫と舞い蝶

最愛なる大空の君(本編)
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≪プロローグ 〜動き出す毒サソリ≫




最近、ツナの様子がおかしい。
まるで何かを隠すかのように、こっそりと学校から帰ってくる。
そのあとは、部屋に引きこもり……。
夕飯時になっても出てこないので、仕方なく、晩ごはんをトレイに乗せて部屋の前に置く。
そんな日が、ここしばらく続いているわ。



おかしいと言えば、リボーンもそう。



ツナは最初、私の殺しの標的だった。
だけど、そうしてしまうと愛するリボーンの評価ががた落ちしてしまう。

信じられないけれど、ツナはマフィア界の最高血統であるボンゴレの血を引く、唯一の人物。
学校では『ダメツナ』なんて言われてるけどね。

リボーンは、そんなダメツナを立派なマフィアのボスに育て上げるべく、ボンゴレ9世から依頼を受けた最強のヒットマン。

私はリボーンを心から愛しているの。
だから、リボーンの信頼を保たせる為にも、ツナを殺すわけにはいかなくなった。








でも、本当はちょっとわかっているの。
沢田家に居候するようになってから、ツナの優しさとか、底抜けのお人好し加減とか――――――。

そんなツナが、ママンや私達に心配させるような行動をとるなんて、変な話だわ。
気になってリボーンに相談を持ち掛けたら、次の瞬間、ものすごい殺気を放ちながら私にこう言ったの。



『あんな人間のクズ、気にする必要はねぇ』



待って、リボーン。
あなたは今、なんて言った?
ツナが『クズ』ですって?
家庭教師であり、誰よりもツナの成長を間近で見続けてきたあなたが、どうしてそんな事を言うの?

あの時の私は、リボーンの殺気を恐れて、問い詰めることが出来なかった。





これではいけない。女の勘が告げる。
私は愛するリボーンの言葉の真相を確かめるべく、ツナの周辺を独自で調べることにした。
最初は標的だったけど―――これでも私はあなたのことを認めてるつもりなのよ、ツナ。
だからもう一度、ママンや私達に笑顔を向けてね。

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