野良猫と虹の下の宝物

甘いだけの囁きを越えて
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「……っ、ん」



唇を離せば、甘い吐息を漏らす少女が可愛くて堪らない。

睫毛が伏せられた瞼を彩るその下では餅の様に白くて、柔らかな頬が淡く色付いて。
煽情的、かつ堪らなく愛らしかった。



―――は、ぁ。



熱い息を零すその直後に再び唇を重ねたのは、今現在この姿を見ているのは世界中で自分だけと言う幸福感が彼の全身を満たした故だ。


「…ぁっ、ガナッシュさ……っ」


彼女の体をベッドの上に押し付け、深く押し込んだ舌で以て決して逃げられない様にする。
悶える腰に両腕を絡め、脚の間に己の片脚を食い込ませ。
更に距離を詰めれば何とも可愛らしい声が彼女から漏れた。


それが己の崩れかけている理性をまたひとつ。
崩壊させることになる―――……。


「っ……」


加速する熱は止まらず、咥内を貪りつつ彼女の火照った表情を見る。


潤んだ琥珀の瞳。
桃色の頬に艶めいた唇。


愛らしい声がまた、彼の聴覚を癒す。


「ガナッシュさ……っ、ガナッシュさん……」


ぞくぞく、と背筋に電流が走った。


小さな身体を自分の身体で丸ごと包み込む様に抱き締め、薄い唇に舌を這わす。

酸素を求める息さえも飲み込み、奥深くまで自分を捩込んだ。


もっと、もっと奥まで。


貪欲な欲望は止まらず、震え出す顎を無理矢理こじ開けて歯列をなぞる。


「んっ、ガナ………っ、あぁ………っ」


遂に力を失い、くてんとなった彼女の上で今や邪魔となった服全部を乱雑に脱ぎ捨て、彼女の服も同時に脱ぎ捨て。
そして布の隔てが一切なくなった彼女を再び抱き締め、口付けを繰り返す。


彼女の瞳から零れた涙が、自分の頬に流れていく。


口付けながら目元を拭い、抑えられない感情を告げた。


「綱吉……綱吉…、好きだっ…」


少しばかり気が強くて可愛くて、愛おしすぎてどうしようもない。


治まらない鬱憤を晴らす手段は彼女の総てを貪ることだけで、獣の様に抱き締めれば彼女はしかし、甘い声音で返してくれた。


「おれも、です……っ好き、です……ガナッシュ、さん…」


寄せられた眉、苦しげな中で。
けれども言った言葉に彼女はふわりと微笑んだ。

幼げなその表情にどくん、と胸が震える。



―──ああ、もう我慢が出来ない。
離せない。
離したくない―――……。


次から次へと湧いて来る彼女への愛情が少しでも伝わる様に、彼はゆっくりと舌を絡めた。





積年の片想いは元々通じ合っていたことに喜びを互いに感じながら。
恋人たちの夜は、まだまだ始まったばかり―――……。

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