野良猫と虹の下の宝物
□change!
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朝目が覚めると―――自分が自分じゃなくなっていた。
Change!
一体どうしてこんなことになってしまったのか……。
月一の守護者定例会議のこの日、綱吉は揃った守護者たちを目の前に頭を抱えていた。
「む、何故この服はこの様に裾が長いのだ?!極限に動き難いぞ!」
「やれやれ…。この姿ではデートに行ってもオレだと気付いてもらえないな」
ぺぽ〜ぴょろろ〜
「おいコラそこの野球バカ!!吹けもしねぇくせにさっきからピーピーうっせぇんだよ!!」
「………最悪です、何なんでしょうかこのセンス。全く以て理解し難い……」
「ちょっと草食動物、ぼさっとしてる暇があるなら僕と手合わせしなよ」
――さて。
相も変わらず自由奔放でマイペース、人に合わせると言うことを全く知らないドン・ボンゴレ]世の守護者たち。
しかし、今日の彼等は明らかに何かが違っていた。
貴方には分かるだろうか―――?
「―――ハッ、普段以上にカオスな集団だな」
綱吉の隣で、黒帽子の赤ん坊が目の前の状況を鼻で笑った。
「人事みたいに言うなよリボーン!!!!」
「お―お、折角のT世の顔も、お前にかかればただのヘタレだな」
「う、うるへぇ!」
赤ん坊に両頬を掴まれ、綱吉の口が所謂タコのそれになる。
プッ。
『色男が台無しだ』とわざとらしく吹き出す赤ん坊には、流石の綱吉もカチンときた。
「こ、こらリボーン、遊んでる場合かよ!!見ろこの異常事態!!!!」
「あ〜ん?つまりこう言うことだろ。朝、目が覚めたら全員揃いも揃って姿形が初代のものになっていた」
リボーンが現在状況に至った理由を簡潔に説明してくれた。
―――つまり、そう言うことである。
「大体なぁ……ツナ。どうしてこうなったのか原因も分からねぇのにガタガタ言ったってしょうがねぇだろーが。しっかりしろよ、ボス」
「うっ…それは……」
そうなんだけど、と口ごもる。
傍目で見ると、何とも覇気のない弱そうなT世だ。
綱吉は救いを求める様に守護者たちの方へ視線を向けた。
まずは手前から。
ナックルと化した了平。
裾の長い牧師の服装が余程気になるのか、先程から裾をめくったり下ろしたりと兎に角落ち着きがない。
ランポウと化したランボ。
デートの心配をしている。
雨月と化した山本。
烏帽子に狩衣姿。
雨月の笛が気に入ったらしく、先程からずっとでたらめな演奏を披露してくれている。
Gと化した獄寺。
守護者で唯一のツッコミ要因として大忙しの様だ。
D・スペードと化した骸。
壁の全身鏡の前に崩れ落ち、変わり果てた姿に絶望していた。
隣ではクロームがどうしようとオロオロしている。
アラウディと化した雲雀。
目を合わせると即手合わせを申し込まれてしまうため、雲雀のことを見ない様にした。
………。
…………。
……………。
綱吉、守護者を一巡りして項垂れる。
この状況で一体どうしっかりしろと言うのか。
自由奔放でマイペース。
人に合わせると言うことを全く知らないドン・ボンゴレ]世の守護者たち。
これはもう、それらが更に個性的かつ面倒な存在になったとしか思えない。
「どうしよう…リボーン…」
また頭を抱え出してしまう綱吉。
その隣で助けを求められた赤ん坊―――リボーンは、黙って携帯内蔵のカメラのシャッターをきっていた。
こんなに面白い光景はそうそう拝めるものではない。
見た目からして分かる程、顔がほくそ笑んでいた。