野良猫と飼い猫
□ネコネコ恋愛行進曲♪ @
1ページ/5ページ
手のひらサイズの仔猫が、与えられた毛糸に抱きつき、ゴロゴロと喉を鳴らしながら一匹で楽しそうに遊んでいる。
仔猫の名前はツナ。
つい先日、この屋敷の主人に拾われた、愛くるしい仔猫である。
白茶の毛並み。
ひょこひょこ跳びながら毛糸にじゃれつく姿は、猫好きにはたまらない仕草である。
その首には、小さな鈴がついた薄桃色の首輪。
ツナが動くたびに小さくチリンチリンと鳴る鈴には、実は超高性能なGPSがつけられていることを、ツナは知らない。
その様子を、少し離れた場所からハンディカムを片手に、鼻の下をでれでれと伸ばしながら撮影している金髪の男が一人。
男の名はディーノ。
某大手企業を経営する若き会長であり、ツナの飼い主でもある。
その見目麗しい容姿とは反対に、部下、もしくはツナのどちらかがいなければ、食事の最中に物をこぼしたり、何もないところで転んでしまうほど、中身はへなちょこの男だ。
実はこのディーノという男、裏社会ではキャバッローネというマフィアのボスでもあった。