11/16の日記

23:52
黒ツナ(14)+雲雀(25)でパラレル話
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「僕の町で、風紀を乱すようなことをするな」


明らかに苛立った口調で、雲雀恭弥は言い放った。
わずかであるが、彼から醸し出される純粋な殺気は、凡人であれば卒倒ものだ。
しかし、そんな雲雀を目の前にして、怒られているはずの相手はまだ年若い少年。
ヘラヘラとだらしない笑みを浮かべたまま。全く微動だしない。

これはよほどの命知らずな馬鹿なのか。
それともただ単に鈍いだけなのか。

相手の意図が全く読めず、雲雀は尚更苛立ちを募らせた。















久々に町の巡回に繰り出せば、いきなりコレだ。
身形の良い中年男性が、自分よりも二回りも若い少年を口説き、金を渡している光景が、巡回中の雲雀の視界に入ってきた。
少年は渡された金に納得したのか、中年男性の腰に腕を回し、二人でどこかへと歩き出す。
そこでようやく、雲雀は動いた。

「稚児趣味なのは勝手だけど、僕の目の前で不快な行動を取るな」

「あん?いったい誰………ひっ!雲雀……!」

中年男性は雲雀の姿を確認した直後、脱兎の勢いでその場から逃げ出した。
これが雲雀の恐ろしさを知る者の、当たり前な行動である。
雲雀は逃げ出した中年男性の背中が見えなくなるまで見送ると、詰まらなそうにため息を一つ吐いた。


するとその時である。
中年男性に置いてきぼりにされた少年が、雲雀の着ている上等なスーツの袖口をクイ、クイ、と、小さな力で引っ張ったのだ。


雲雀は鬱陶しそうな視線を少年に向けた。
吸い込まれそうなほど澄んだ琥珀色の瞳と、オニキスのような漆黒の瞳がぶつかり合う。
その瞬間、なんとも捉えがたい感情が沸き起こって、らしくもなく、雲雀は思わず息を飲んだ。
そんな雲雀を尻目に、少年はニッコリと笑って―――。

「俺の今夜のお客さんは、アンタ?」

次の瞬間、雲雀は少年の頭を(かなり手加減して)叩いた。















そして、冒頭に戻る。


「子どものクセに、馬鹿なことしてんじゃないよ。とりあえず、家まで送っていくから………家はどこ?」

「いえないです」

「………言えないだって?」

「ええ」


雲雀の殺気が強まる。
対する少年はというと、変わらずニコニコ。まるで雲雀のことなど、蚊ほど気にならないとでも言いたげな態度だ。
人生を1からやり直させてやろうか―――雲雀は真剣にそう思った。


「僕をおちょくるのも大概にしとくんだね。なぜ、言えないの?」

「燃えたから」

「………はぁ?」


雲雀はそんなに気の長い方ではない。
むしろ、極端に短い方だ。

会話のキャッチボールが出来ないのであれば、強制的に口を割らせよう―――。

そう思った雲雀は、自身の獲物であるトンファーをどこからともなく取り出すと、少年の細い首にピタリと当てた。
雲雀の瞳は冷ややかだ。にも関わらず、少年は変わらずニコニコと笑っている。



「………君、ふざけるなよ。自分の家が言えなくて、あまつ燃えた?人語を喋りな」

「だーかーら、俺も言ってるじゃないですか。いえないのは、燃えたからって」

「………咬み殺す」


少年の首に当てられていたトンファーがグッと圧しやられた―――刹那。

少年の瞳がフッ…と、ここではない、全く別の場所を見ているかのように、遠のいた。






「燃えちゃったんですよねー………何もかも。

 机も。椅子も。教科書も。アルバムも。寄せ書きも。

 じいちゃんも。ばあちゃんも。

 親父も。お袋も。

 家にあったもの全部、何もかも」





少年の言葉に、雲雀はハッと短く息を飲んだ。























分かっていなかったのは雲雀の方だった。




































彼は『言えない』のではなく。






















『家ない』と、ずっと訴えていたのだ。
























「まぁ………家なくしたのは俺だから、しょーがないんですけどねー」





































このお話の雲雀(25)は、恐らく警察関係の職業に就いているのではないかと思われます。
そして言えない子………失礼、家ない子の綱吉(14)。

この後のあらすじと致しましては、雲雀はちょっとした罪悪感から綱吉を自宅で保護、持って帰ります。
奇妙な同棲生活の始まり………ですが。
当初は大人としての責任と秩序を重んじてた雲雀も、綱吉のえもいわれぬ色気にあっさり負けて堕落(笑)
思いっきりのめり込んでしまいます。

しかし、綱吉にはまた別のパトロンが存在し、嫉妬に狂ったり。
でも綱吉を愛しているから別れられなかったり。
齢25にして知る、恋と愛の苦悩(大笑)



………どこの昼ドラだよコレ!?!?!?
しかし楽しかったです♪

もし別の展開がありましたら、是非、妄想してみてください(笑)



☆コメント☆
[ココア] 11-17 23:38 削除
まさかの黒ツナ×ヒバリ?!いえ、精神的に(笑)何はともあれ美味しく頂けますwww

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