戦国BASARA夢 壱

□虹色の欠片 四
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「おっきろー!!!!」

外からする大きな声で私は目覚めた。
…残念。記憶がないという事実は夢ではなかったみたい。
ちゃんと私は見覚えのある富嶽の一室で寝ていたし、ちゃんと…昨日のことを覚えてる。
昨日、気がついたら私は記憶がなくて、元親と色々話して、嫁云々…について考えてたら、いつの間にか寝ちゃって。
えっと…今は?
まだ寅の刻…?

「奥州に着くぞー!!甲板に出ろーっ!!」

その声に私は飛び起きた。
見張り番の兵士さんが、皆を起こしてまわっているようで、船をドタドタと走り回る足音が響く。

ついに…奥州に着くんだ!

そのことに気がつくと、私はウキウキせずにはいられなかった。
できる限り身だしなみを整え、私は部屋から出て、みんなが集まっているらしい甲板へ向かう。

甲板に出た途端、私は外の景色に目をとられた。
もう富嶽は港に停泊しており、昨日宴会騒ぎをしたみんなが、奥州の兵士さん…と思われる人たちと荷をおろしている。
そんな光景をぼうっと眺めていると、誰かに肩を叩かれる感触がした。

「さくら、昨日はよく寝れたか?」
「あ、元親!おはよう!」
「おうっ。今日も良い日になりそうだ」
元親は、昨日の袴姿とは違って、正装…なのだろうか。
上着を羽織った感じ(ていうか羽織っただけ…)で、昨日よりしっかりとした眼帯をつけている。
奥州を治める人に会うから、ちゃんとした格好をするってわけだろうか?

「そろそろ荷をおろしおわる。俺はちょいと独眼竜に用があってよ、ずっとはさくらに付き合うことはできねぇが…」
「うん、分かった」

ずっとってことは少しは一緒にいられるんだよね?
それならいいな…

「一応アンタのことは、竜の右目の片倉ってやつに頼もうと思ってんだが…右目もさくらの知り合いだったようだしな」
「片倉…?」
「あぁ。片倉小十郎っつって、独眼竜…伊達政宗の腹心だ。良い奴だし安心しな!
っ、おっと、用意ができたみたいだ。行くぞさくら!」
「あ、はい!」

私は走って船をおりた元親の後ろについて、奥州の地に降り立った。
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