お題
□怒る
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怒る
ドカッ
鳩尾に衝撃が走る。
殴ってきた相手を見るといつもより8割増しの眉間の皺と鋭い目。
「いい加減にしろよ」
唐突。
「あんた、一体何なんだよ」
存在意義を問われる。
「ヘラヘラ笑いやがって」
お猪口を呷る。
一心サンそっくり。
「いつも迷惑ばっか掛けやがって」
その言い方も一心サンそっくり。
「あんたのせいで何回死にかけたか分かってんのか?」
「スイマセン‥‥いだい、いだい、いだい!」
しおらしく頭を下げたのに、何がムカついたのか鼻を引っ張られる。
野性の勘っスかね?
「こっちは怒ってんだ!!真剣に答えろ!」
「そんなの見れば分かります」
その一言を喉の奥へ押し込み、胃酸で溶かす。
「あんた、人に迷惑しか掛けられないのか?」
鬱憤と言うに相応しい彼の言葉。
「ルキアにも、チャドにも、井上にも、石田にも迷惑掛けて、その前には夜一さんや、平子たちにも‥‥自分だけで片付けらんないのかよ!」
「スイマセン」
まぁそうですよね、黒崎サンがそれだけ腹を立てるのも当然っスね。
「あんたじゃなかったらこんなにムカつかねーし怒んねーんだぞ!!」
すごい殺し文句。
‥‥フフッ
アタシが笑ったことに気が付いて、黒崎サンはさらに声を荒げるが、今日はそれでもいい。
この際、キミの怒りが酒を呷って生まれたものだとしても、目を瞑りましょう。