お題
□Once
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Ｏｎｃｅ
「自分が不幸だって思ったことある？」
「ないっスね。断言出来ます」
「なんで？」
「キミがそんなこと聞いてくれるから」
「意味が‥‥」
「だからね、キミがこうして隣にいてくれる事実があるなら、過去や未来の嫌なことのほとんどは乗り越えられる。不可能なこともどうにか出来るって思えるんです。そしたら、アタシには不幸なことなんて何ひとつないんスよ」
「‥‥」
「要は考え方の問題でしょ？キミがアタシといてくれる事実があれば、アタシは幸せっス。多少、幸せの振れ幅は違うとしても不幸とは感じません」
「俺がいたらそれでいいわけ？」
「あー。そうじゃないんスよ。ただ傍にいるだけなら誰だって出来るわけで‥‥。アタシの隣で、アタシのことを想って、アタシのことでキミの時間が消費されれば、とても幸せってことで‥‥」
「昔は不幸だった？」
「いいえ。その時は不幸だ、最悪だって思っても、今考えるとすべてがキミに出逢うための布石だったように思えて、幸せっス」
「‥‥恥ずかし」
「恥ずかしくても、真実ですよ。アタシにはキミがいるだけで、昔よりずっと幸せっスから」