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□04
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日記より。アニメのネズミの家にピアノがあってたぎった。


*
「これ、全部弾けるのか…?」

目を輝かせて言う紫苑が見ているのは、壁に張り付けられた古びた楽譜。
黄ばんだり、破れてはいるがちゃんと読める。

「まぁ、一応は。舞台での音取りとか必要だし」

「っ、すごいな」

「そう?あんたはピアノ、弾けないの?」

「NO.6では音楽とか芸術の類は推奨されてなかったから…ピアノの音色すらほとんど聴いたことない」

「なるほどね」

「ネズミ、何でもいいからちょっと弾いてみてくれないか?ぜひ聴きたい」

「鑑賞料とるけど良い?」

「え」

紫苑は少し慌てる。…これだから天然は。

「冗談だって。
せっかくだから陛下の要望にお答えしましょう。
何がいい?結構なんでも弾けるけど」

「ここにない曲でもいいのか?」

「陛下のお望みのままに」

「…昔、母さんがよく歌ってくれた歌なんだけど…」

「どんなの?歌ってみて」

紫苑は少し遠慮がちに歌いだす。
やっぱりなかなか良い声をしてる。
上手いとは言えないけれど、不思議と心地良い。

「…こういう歌なんだけど、弾ける?」

「こんな感じ?」

鍵盤の上でリズミカルに指を滑らす。
少しアレンジも加えて。

「すごい…一回聴いただけなのに」

「余裕」

「ネズミ、ありがとう。きみの奏でる音色は心に染み渡る」

そう言うと紫苑はふわりと欠伸をした。

「眠いのか?」

「うん、そろそろ寝ようかな…」

「じゃあ子守唄がわりにこのままこの曲弾いててやるよ」

「…いいのか?」

「おやすみ、ぼうや。良い夢を」

「…ありがとう」

礼を言って照れくさそうに笑う。
ピアノの音が紫苑を優しく包み込むように降り注いだ。


*

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