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日記より。
*
「ネズミは性欲を伴わない愛ってありだと思うか?」
「いわゆるプラトニックラブってこと?
そりゃ、ないとは言い切れないと思うけどおれは絶対無理。好きな相手には触りたいし挿れたい」
「…きみはオブラートに包んだ言い方をできないのか?」
「あんたに言われたくない」
「え、ぼくってそんなに直接的?」
「かなり。…それで紫苑はどうなんだ?
まさかおれに対して性欲湧かないの?」
「っ…や、そういうわけじゃないけど…ちょっと憧れる」
「じゃあそうする?」
「え?」
「これからはキスもセックスも一切なし。お互い愛してる、って言葉だけ」
「…きみが愛してるって言ってくれるのか?」
「は?」
「いや、うん……ちょっといいかも」
「え、本気?」
「本気だよ?
きみはぼくにはしょっちゅう好きか、って聞くくせに全然ぼくには好きって言わないもの。
よし、じゃあこれからはそれで」
「いやいやいや、紫苑はそれで耐えられるわけ?
あんただって16才の健全な男子だろ。
かなり、辛くない?」
「辛いのはきみだろ。
ぼくはそもそもNO.6にいるときはあんまりそういった欲望を感じなかったからなぁ」
「性欲まで管理してそうだからな、あの都市は」
「あぁ、確かに。13才頃から学校で薬を渡されるようになった」
「げ、リアルにそうなんだ………ってそうじゃなくて!」
「なに?」
「ごめんなさい紫苑さん。やっぱりやめませんか」
「えー、でも」
「分かったから!言えば良いんだろ。
愛してる、紫苑」
「…もっと心をこめて」
「っ……して…る」
「え?聞こえないよ?」
「愛してる」
「っ耳元で囁くな!」
「だって聞こえないって言うから」
「……」
「ほら、おれちゃんと言ったけど?」
ちゅ、
「…許す」
*
No.6は性欲を管理していて、西ブロックに来た途端紫苑が悶々とすればいい。