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5/17-7/6の拍手文。何となくぼつに。裏です。
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「ねず……みっ」
いつからだろう。
あんたに名を呼ばれると、胸が痛むようになったのは。
汗を滲ませ、シーツにしがみつき、次々と押し寄せてくる快感の波に翻弄される紫苑。
あんたをこんな姿にしたのはおれだ。
おれだけれど。
「いっぁぁあああッ」
白濁液を飛び散らせた紫苑はくたりとベッドに身体を投げ出した。
こんな姿を晒しても、やはり紫苑は純真無垢な存在だと感じてしまう。
脱力した紫苑から自身を抜き出し、そのまま紫苑の上に倒れ込んだ。
紫苑の身体は熱く火照っており、全身で呼吸しているのが分かる。
「…ネズミ、重い」
「うるさい。………なぁ、紫苑」
「なに」
「おれのこと、好き?」
「?当たり前じゃないか」
何を今更といった表情で紫苑は不思議そうにおれを見つめた。
「きみという他者なしに、ぼくは生きられない」
気恥ずかしくなるような愛の告白を以前、された。
けれども紫苑の愛は少し触れただけで壊れてしまうような、あまりにも繊細なもの。
おれの愛とは違う。
嫉妬、独占欲、あんたはそんな感情を抱いたことがあるか?
人を愛するということは汚く、醜い。
紫苑はまだ知らない。
あんたはイヴのファンと同じようにおれに魅せられているだけなんだよ。
その言葉が何度口から出かかったことか。
だけど言えない。言えるわけがない。
あんたが本当の愛を知ったとき、愛する人と共におれのもとから去ってしまうことが堪らなく怖いから。
あんたは永久に知らないままでいい。
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