RedDream
□缶コーヒー
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「殺人鬼って、どうして人を殺すんだろうね?」
僕は、尋ねた。
「おい。それは、俺への嫌がらせか?」
「どうして、そう思うの?式岸」
隣でコーヒーを飲む、同僚の式岸は、苦い顔をしている。
「別に、理由なんて要らないけどさ。理由はなくとも、理屈はないの?」
また、尋ねてみた。
「俺が知るか」
「ふーん」
と。僕は一人納得して、立ち上がった。
ふわりと風が吹いた。屋上の為、風は少し冷たい。
「ん」
缶コーヒーを、差し出された。
「なに?」
「来てすぐに帰る奴がいるか。休む時は休め」
「………素直じゃないね」
「うるせぇ」
缶コーヒーを受け取り、座りなおす。
開けて、一口飲んだ。
僕の好きな、ほんのり甘いコーヒーだった。
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