いろいろな色

□おおかみの戯れ
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【おおかみの戯れ】


ぐちり、と牙で首をえぐられ嫌な音がした。

きっと肉に食い込んで出血した音だ。オオカミなのだからどうせ直ぐに治るだろうが、牙が刺さっていればどうすることも出来ない。
滴る血を眺め、ため息を零す。

「トイフェル。痛い」
『そりゃあ、噛んでますから』

牙は離さず、トイフェルがオオカミの舌で傷口を舐め上げた。ざらりとしたその舌に肉の削がれる感触がした。

『美味しいです』

口元の血を舌で舐めとり、オオカミの姿をしたトイフェルは満足そうに唸った。

「私は痛かったんだけど」
『それは失礼』

なんて言って、その舌で唇を舐められる。
自分の血の味がした。気持ちが悪い。

なんて思っていると、舐められていただけのはずなのにその舌は口内に侵入してきた。

ざらざらとした舌で、自分の舌を舐られる。

自分もオオカミではあるが、変な気分だと受け入れた。

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