Long
□零崎織音の人間音階
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Piano bar『Crash Classic』
そこは、殺し名序列。第三位である。零崎一賊の三天王である零崎曲識の経営している店である。
が、そこにいたのは、一人の娘だった。歳は、十九か二十。
カウンターで、本を読んでいる。
肩までの黒い髪。瞳は、深い赤。
顔面には、星の形をした刺青。整った顔立ちに、華奢な身体。
そんな容姿に、何故か不似合いな格好をしている。
真っ黒なパーカーの上に、黒いクリティカルベスト。同じく黒いゆとりあるズボン。
靴は、動きやすそうな黒と赤のスニーカー。腰には、ホルダー。
その中には、鋭利なナイフが入っている。
それが、まるで当たり前のように。
当然であるように。
ナイフを所持している。
「零崎……。したいな…」
そう呟きながら、少女は読んでいた本を閉じた。
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