BlueDream
□あなたは何も言わなかった
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「燐。悪魔なんだってね」
正十字学園の廊下で、わたしは燐を呼び止め、聞いた。
「悪魔……なんでしょ?」
尋ねると、彼は悲しそうな顔をして。
「……ゴメン」
と、謝った。
「なんで謝るの?」
「ゴメン」
「それしか、言えないの?」
「…………」
「燐」
尋ねているこっちが、悲しくなってきた。
「燐。答えてよ」
たまらず、涙が溢れ出した。
「ねぇ、燐!」
燐を見ようとしたが、涙で見れなかった。
唇に柔らかい感触。
「ゴメンな」
燐は少し離れると、そう言ってわたしを抱きしめた。
END.